トランプの勝利で政治の質は大きく劣化するであろう

トランプがアメリカ大統領選挙に勝利して以降、一部の右派ポピュリストを除き、メディアから聞こえてくるのは一様に将来を不安視する声が殆どだ。首相のメルケルこそ、社交辞令でトランプを祝福し今後の協力を申し出てはいるが、それもあくまで自由と民主主義、あらゆる人々に対する敬意といった共通の価値観に基づいた上でだと釘を刺した。

口にこそ出さないが、トランプ大統領の誕生はメルケルにとってBrexitを超えるバッドニュースであることは間違いない。メルケルは既にロシアのプーチンやトルコのエルドアンというクセ者と関わりあっているとは言え、トランプは場合によってはそれを超える極めて難しいパートナーになり得る。少なくとも選挙期間中のトランプの言動を信じるなら、この2人が今後の上手くやっていくことは現時点では想像しにくい。とはいえ、誰が大統領になろうが、アメリカとは心を開いて共同歩調を歩んでいく以外に道はない。

しかし、このトランプという男を大統領にまで祭り上げてしまったアメリカという国の理性を私は大いに疑ってしまう。もちろん、トランプに投票した人間には彼らなりの理由があるだろう。私みたいなドイツに住んでいる小者がアメリカの民衆の問題を真に理解できる程の想像力など持っていないことなど百も承知だ。トランプももしかしたら本当に皆のための良き大統領なる可能性もあるかもしれないし、少なくとも私は世界の為にもそうなって欲しいと思っている。

しかし、一部のどう見ても非現実的な政策もそうだが、差別的かつ低俗で下品、人間同士の怒りや憎しみを煽る暴言を撒き散らす人物が事実上世界で最も強大な権力を手にするとは本当に世も末だと思ってしまう。このような政治家を支持して得られるものは他人を貶めて優越感に浸るような低レベルかつ一時的なものであり、長期的にはあらゆる理性のある人間にとって害になるであろう。

勝利の演説では選挙中の過激な発言は影を潜めて「皆の大統領になる」と殊勝に語り、一転してトランプに対する評価を改めている人もいるかもしれないが、私はトランプが幾らビジネスマンとして有能でも政治家としては断然不適格であり、政治の質は大きく劣化するであろう。

このトランプ大統領の誕生で、世界的に下劣で低レベルな発言で民衆の共感を呼び、権力の座に着こうとする人間が増えるのは間違いない。そしてそのような人間は平気で嘘をつき、誇張したデマを広げて世の中を大混乱に陥れるだろう。

ドイツで言えばAfDのような右派ポピュリスト政党の株はトランプの勝利により間違いなく上がってしまった。残念なことだが、そのような結果になってしまった以上それを受け入れてうまく生き延びていく方法を考えるしかない。これから本当に大変な世の中がやって来るだろう。

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