ドイツの今年を象徴する言葉は”postfaktisch”

日本に流行語大賞というのがあるが、これに当たるものはドイツにもある。ドイツ語では”Wort des Jahres”と呼び、直訳すると「今年の言葉」だ。今年は、postfaktisch(ポストファクティッシュ)と言う形容詞が選ばれた。既に12月の初めにこれは選定されていたが、遅ればせながら今年も終わる前に紹介しておこうと思う。

我々は外国人なので、まず語学的にこの言葉を解析すると、post-fakt-ischとなる。”post-“は「後に」或いは「後方に」を意味するラテン語の前綴り。”Fakt”は名詞で「事実」を意味し、”-isch”と言うのは名詞を形容詞化する後ろ綴りである。意味は簡単に言うと、「事実よりも感情が優先されるさま」としておこう。元々は英語の”post-truth”から来たもので、これをドイツ語化した造語である。多分ドイツ語の辞書を引いても出て来ない。

この言葉はとりわけ現在の政情を表現していると言える。つまり、多くの政治的な議論が事実でなく感情に基づいたものであり、それどころか政治家のあからさまな嘘を事実として受け入れようとする民衆が益々増えている状況を表しているとの事だ。具体的には、ドイツで言えばAfDのような民衆を扇動して支持を得ようとする右派ポピュリスト政党が勢力を伸ばしている状況を示している。もちろん民衆の感情を軽視して政治は出来ないが、偏見や差別に基づいた世界観で他人を罵ったり侮辱するような発言が支持を集めていると言うのは、ドイツだけではなく世界的に言える事であろう。

まあAfDの支持者に言わせれば、メルケルこそ事実を無視した感情的な政治をしていると言うであろうし、ましてや最近の出来事などを見ると表面的にはそのようにも見える。この状況を深刻に捉え早急に対策を打たない事には、社会は益々分断されるだろう。因みに、去年の言葉は”Flüchtlinge”= 「難民」という分かり易い単語だったが、今年はドイツ人もちょっと考えたり、解説を得ないとピンと来ないような難解な形容詞になった。ただ”postfaktisch”と言う言葉は現在の深刻な社会、政治情勢を表現している事は確かだろう。

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