ドイツ対チリ戦の発見は、FWラース・シュティンドル

木曜日にコンフェデ杯のドイツ対チリ戦を観戦した。前回のチリとの試合は確かブラジルW杯の前のテストマッチだった。この時はドイツが1-0で勝利したが、その時からチリはかなり強かったという印象がある。ビダルやサンチェスのようなスターだけでなく、皆小柄ながらテクニックがあり、スピードがある。その前線からのプレスは驚異だ。ブラジル、アルゼンチンを差し置いてコパ・アメリカを制した現在のチリ代表はポルトガルと並び今大会最大の強敵だろう。

ドイツはこの試合オーストラリア戦とはうって変わり、守備を重視したシステムで試合に臨んだ。同じ3バックながらFWを1枚削り、中盤の守備的な位置に1枚増やした形だ。メンバーも守備を重視した人選で、FWのワーグナー、攻撃的な右サイドのブラントを外し、中盤の底にエムレ・チャンを、最終ラインには新たにギンターとズューレという屈強な体格の2人をを起用した。

チャンは前回のオーストラリア戦はスタメンを外れたが、今大会のメンバー編成では攻撃的、守備的なシステムに関わらずチャンは欠かせない選手だろう。司令塔のルディは典型的なパサータイプで、パートナーに運動量が豊富で守備力の高い選手が必要だ。オーストラリア戦で活躍したゴレツカにまだそこまでは要求できないと見る。ギンターとズューレはテスト的な意味合いが強いだろう。チリの強力プレスをどうやってかい潜り、前線にボールをつなげるか、敢えて経験の浅い若手を起用したと見る。

試合は例によってチリは試合開始から前線からの激しいプレスでドイツにプレッシャーをかける。これがドイツのゴール近くでムスタフィのパスミスを誘発し先制した。ドイツは長い時間帯チリにやや押され気味ながら、41分に同点に追いついた。中盤の底からボールを持ち上がったチャンが左サイドのヘクターに見事なパスを通し、このグラウンダーのクロスにシュティンドルが飛び込み追いついた。非常にテンポが早く、レベルも高い見応えのある前半だった。

後半はチリがややペースを落としたこともあり落ち着いた展開となった。ドイツはチリの攻撃を凌ぎつつ慎重にゲームを運び、これと言った大きなチャンスもなくそのまま引き分けた。両チームとも初戦に勝利しているので力関係から言っても引き分けで十分だろう。

そしてこの試合で最も私の印象に残ったのが、この日ワントップの位置で出場し得点したラース・シュティンドルである。もともと2列目の選手だが、クラブではしばしばFWとしても起用されており、今回代表に呼ばれた目的は明確だ。ロシアW杯に向けて現時点でドイツ代表の最も大きな弱点であろうFWの人材不足を補うためだ。

そして、昨日の試合を見る限り、W杯本番でもシュティンドルのFW起用は十分にあると思う。この選手、上背も派手なテクニックもないが、運動量が豊富でスペースを突くのが実に上手い。しばしば中盤の深い位置で素早くボールを捌き、再び最前線に走り相手DFを引き付け、右サイドにも顔をだしてチャンスメークにも絡む。更に私が秀逸だと思うのは、シュティンドルは複雑な技巧を凝らすことなく常に速く、シンプルに局面を打開することだ。このクレバーさに加え、キープ力、シュートの技術も高い。派手さはないが効果的、非常に良い選手だと思う。

このシュティンドルのFWとしてのプレースタイルは、昨年引退しドイツ代表のスタッフ入りしたミロスラフ・クローゼと共通する部分が多くあると思う。おそらくシュティンドルもクローゼから多くのアドバイスを受けているだろう。両者とも地味ながらチームプレーに徹し、他の選手とのコンビネーションで力を発揮するタイプだ。そして、このような選手は天才肌のエゴイストよりも長きにわたり監督から重宝される。シュティンドルは今後も代表には呼ばれ、今度は主力組との連携をテストされるであろう。クラブで著しく調子を落とすことがなければ、ロシアW杯のメンバーには少なくとも入れてほしい選手だ。

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