再び溝が出来つつあるドイツとポーランドの関係

第二次世界大戦のドイツのポーランド侵攻やアウシュビッツなどの歴史から、ポーランド人は今もってドイツ人を嫌いだというイメージがあるかもしれない。しかし、私の経験から言えばそんな事はなかった。私はドイツで語学学校に通っていた時に、多くのポーランド人と同じクラスになった。彼らは一様にドイツ語が非常によく出来たし、学習意欲も高くドイツを忌み嫌っている印象はまるでなかった。

あるポーランド人は戦争はあったけれど、ドイツとポーランドはその関係を修復し、今では交換留学などが盛んで多くの交流がある事を教えてくれた。実際ポーランドではドイツ語を外国語として学ぶ人は世界のどの国よりも多い。テレビで見る多くのポーランド出身のサッカー選手なども非常にドイツ語が上手だ。教育や文化だけでなく、経済においてもドイツはポーランドにとって最も重要なパートナーであり続けている。ドイツ外務省の情報によるとポーランドの輸出の1/4はドイツ向けだそうだ。

しかし、少なくとも政治的には最近どうもポーランドとドイツの関係は良さそうには思えない。ポーランドは2015年よりPiSと呼ばれる保守政党が政権に就いており、反難民、メディアの監視、政府の司法介入など、最近流行りのポピュリスト的な政策で民主主義国から遠ざかっている。エルドアン、オルバン、トランプと同路線と言えるだろう。

そのポーランドであるが、つい最近今度はドイツに第二次世界大戦の損害賠償を請求し物議を醸した。その金額はおよそ8,4兆ユーロらしい。第二次世界大戦におけるポーランドとの関係修復は1970年ヴィリー・ブラントがワルシャワで唐突に行った歴史的な跪きで一気に進展したと言われているが、もう長年の間和解したと思っていた隣国の変貌ぶりには誰も戸惑いを隠せないだろう。

戦争賠償に関しても本来ポーランドは1953年に当時の政治的な情勢もあり東ドイツと戦争賠償は今後請求しない事で合意している。ドイツ統一後も1970年にボンでそれを確認、その他の機会にも念押しにこれを確認しており、ドイツはこれを理由にこの戦争賠償の支払いを断った。ドイツは第二次世界大戦を持ち出されればいつも神妙になるとはいえ、この戦争賠償に関しては議論の余地も持たせないであろう。こんな話が始まったら周辺他国も戦争賠償を請求するようになる。何れにせよどんな政治的な思惑があるのか知らないが、最近のポーランドが理性的な国であるという印象を私は持っていない。

しかし、周辺国を敵視し、殆ど現実離れした恫喝のような要求でひたすら自国の利益のみ追求するというスタイルが最近の政治トレンドだ。ドイツでも来週の総選挙前のアンケートではAfDが10%程度の支持を集めており、小規模政党の中では最も強い勢力となる可能性がある。

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