AfD支持者の入会を拒否して物議を醸している、アイントラハト・フランクフルト

一般的に言って、スポーツと政治は完全に切り離せないとはいえ、望ましくない組み合わせである。スポーツは人々を団結させ、そこに参加するすべての人々は仲間である。政治はもっと複雑で、時に人々を分断させる。

確かに、オリンピックなどは政治が多分に絡んだイベントであり、これらは既に止むを得ないであろう。しかしそれにより、ボイコットやら国家ぐるみのドーピングなど、およそ本来のスポーツの目的とはかけ離れた醜聞が存在する。スポーツに政治のテーマを持ち込むと、大抵ろくな話にはならない。

そして、そのようなスポーツと政治の望ましくない関係を持ち込んで物議を醸しているブンデスリーガのクラブが存在する。それは日本代表の長谷部が所属するアイントラハト・フランクフルトだ。クラブの会長であるフィッシャーは最近流行りの右派ポピュリスト、AfDの支持者をクラブの会員にはしないと公に発言した。

当然AfDはこのフィッシャーの発言に激怒、これを犯罪として告発し、更に自らの支持者を本日行われるクラブの会員総会に潜り込ませるキャンペーンに打って出た。この総会ではフィッシャーが会長に留まるかどうかクラブの会員による投票が行われる予定になっており、会員として潜り込ませたAfD支持者が留任の反対に投票することで、フィッシャーを失脚させようという得意の姑息なやり口である。

AfDは知っての通りこれまでも人種差別的かつ下品な発言で問題視されており、過去にはドイツ代表のボアテングに対し「人々は彼を良いサッカー選手と思っているが、隣人にはしたくないと思っている」となどとも発言している。これは著しく品のない発言で、当時のEURO2016の雰囲気を台無しにした。

しかし、このAfDの支持者の入会を拒否するというフィッシャーの発言はさすがに軽率の誹りを免れない。まず、どうやって会員がAfDの支持者であるかどうかをチェックするのであろうか、そんな事は事実上不可能であるし、そもそも民主的な問題解決ではない。例によって逆にAfDに揚げ足を取られてしまうのが関の山だ。

更に、フィッシャーは「スポーツは政治的でもあり、必要ならば社会の間違った発展に対する声を上げなければならない」としているが、これも現時点で必要な発言ではない。確かに、人種差別や偏見を否定し、寛容さと多様さを推進することがテーマになっている以上、スポーツは既に政治的でもある。下品で差別的な主義主張と、他人の揚げ足をとって支持を得るAfDがドイツ第3の政党に躍進したことは、確かに世の中にとって望ましくないと私も思う。

しかし、だからと言ってフィッシャーのように彼らを真っ向から否定し、拒否するのは問題解決にはならない。寧ろ社会をよりいっそう分断させる。AfDの躍進が民主的な選挙で得られた結果である以上、それを尊重し、適度に距離を保ちながら自らのポリシーを主張するべきだろう。フランクフルトというドイツでも屈指のクラブのボスである以上、その辺のさじ加減をフィッシャーは意識して欲しいと思う。

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