アウトバーンの渋滞時における重要なルール: “Rettungsgasse”の構築

ドイツは今日からイースターの連休に入った。イースターは知っての通りキリストの復活祭と呼ばれ、ドイツで非常に重要な祝日のうちの一つである。文化的に正しい意味はさておき、私的にはイースターは勝手に日本で言うお盆のようなものだと認識しているが、お盆の帰省ラッシュがあるように、ドイツでもイースター渋滞が存在する。昨日はただでさえ渋滞だらけのアウトバーンに、帰省ラッシュや事故、北ドイツでは天候も悪く各地で長い渋滞の列が続いた模様だ。

そしてアウトバーンで渋滞に巻き込まれた際ドライバーが必ず守るべき極めて重要なルールが存在する。それは、”Rettungsgasse”=「救急車両の通行路」を作る事だ。イースターの休日前にこんな話をするのも風情がないと思うが、折角なので紹介しておく事にする。

まず単語を説明すると”Rettungsgasse”もドイツ語によくある合成語の一つで、”Rettung”=「レスキュー」と”Gasse”=「小路」が組み合さった言葉である。基本単語の意味が分かっていれば、それが救急車両の通行路を意味することは容易に想像できる。

具体的には2車線のアウトバーンで渋滞に巻きこまれた場合、両車線を走る車がそれぞれ隅に寄ることで真ん中に救急車両が通れる幅のスペースを確保する。3車線、4車線の場合は一番左を走る車が左隅に車を寄せ、それ以外の車線の車が右側に寄せることによってそのスペースを確保する。この”Rettungsgasse”の作り方は法律によって定められている。

勿論ドイツのアウトバーンにも一番右に日本で言う路肩のようなスペースがあり、これは”Standstreifen”或いは”Pannenstreifen”と呼ばれる。このスペースは救急車両が通る道だと思われがちだが、そうではない。パンクや故障などで動けなくなった車が一時的に停止できる場所として確保されており、状況にもよるが基本的に車は走ってはならない。救急車両用にはあくまでも上記に記した”Rettungsgasse”を構築しなければならない。

もしもこの”Rettunsgasse”の構築を怠って救急車両の通行を阻害してしまった場合、最低でも200ユーロの罰金が課される。このような場合、当然救急車両は強引に前方へ進もうとするが、ここで接触事故など起こした場合、罰金は320ユーロになり1ヶ月の免停になる。そういう訳で、渋滞になったらその時点でこの”Rettungsgasse”を作るべく各車両はそれに適して車を寄せておくべきだ。個人的な経験から言えば、案外後方から救急車やレッカー車が来ていることに気付かない事も多い。

そしてその罰金が示すように、ドイツのドライバーにとってこの”Rettungsgasse”の構築はマナーではなく、れっきとした強制力をもった義務である。ドイツの車両が一糸乱れず救急車両のために側に寄るのはその為だ。その法律の根底にはもちろん、それによって一刻も早く救急車両が現場に到着し怪我人を救うというモラルがあるのだが、ドイツ人はそこから有無を言わさぬ強制力をもったルールや法律を作り、それでもって秩序をつくる。多くの事を個人レベルの配慮やマナーに委ねるている日本とは大きく異なる点だろう。

しかし、私が本当にいつも残念に思うのは、実際にこの渋滞の原因の多くは事故であるという事だ。この間も5時間ドライブしたが、その途中反対車線で大破した車を合計4台、”Rettungsgasse”を通る救急車を3度見た。いい加減ドイツのアウトバーンの時速無制限は考え直すべきだ。これは私から言わせれば、殆どアメリカの銃規制なしと同様に危険な自由であろう。それについてはまた別の機会に考えてみたいと思う。

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