ヨアヒム・レーヴによってドイツ代表を干されてしまった実力者たち

次に紹介したいのは、現在ヴェルダー・ブレーメンに所属するFWマックス・クルーゼである。現在30歳のクルーゼは2013年にドイツ代表に初招集された。2014年のW杯こそメンバー入りを逃したものの、それ以外はコンスタントにレーヴによって代表に招集され、2016年のEUROの予選ではグルジア相手に苦戦の中貴重な勝ち越し点を決めてドイツの予選の首位通過を決定的にした。

クルーゼは180cmのオールラウンドなタイプのFWで、その高い決定力に加え、優れたアシスト能力を持っており、攻撃的な位置なら一通りプレーできる。非常にテクニックが高く、かつクレバーな選手で、EURO2016のメンバー入りは確実視されていた。実力から言えば今回のロシアW杯のメンバーに招集されてもおかしくない。プレースタイルから言ってもレーヴ好みの選手と言えるだろう。

しかし、クルーゼは2016年の3月、タクシーの中に現金75000ユーロを忘れるという一般人からすれば信じられないチョンボを犯した。そしてその直後に控えていたイングランド、イタリアとのテストマッチをレーヴから懲罰のような形で代表を外され、それ以降招集されていない。ドイツにおいて代表選手というのは世間にとって模範的な人物であり、行動をしなければならないとされており、クルーゼの行動はこれに見合っていないと判断されたからだ。

これ以外にもクルーゼはサッカーを離れた所での奔放な振る舞いで知られており、有名なのは趣味で行っているポーカーである。これはかなりの腕前らしく、2014年のW杯の最中に参加したラスベガスのポーカー世界選手権では3位にもなったそうだ。

本来なら、仕事以外のプライベートで何をしようがその人の勝手と言いたいところだが、代表選手ともなるとそれ以外のところでも注目が集まってしまう。クルーゼはちょうどこのタクシーの現金事件のころ、派手なパーティでタブロイド紙の記者とひと悶着起こしており、これもタイミングが悪かった。ポーカーにしても、言ったらギャンブルなので代表選手としての世間に与えるイメージは良くない。クルーゼは毎年世界選手権に参加しており、それは普通の感覚から言えば趣味の範疇を超えている。

しかし、レーヴはクルーゼをこれらのピッチ外の振る舞いで切った一方、2014年に無免許運転という言い訳のしようのない違反を犯したマルコ・ロイスは外さなかった。これはどう見ても不公平であり、その意味ではクルーゼは見せしめに利用されたとも言えなくもない。

まあ、これも詰まるところ、クルーゼがチームにとってあくまで代えの利くレベルの選手であるのに対し、ロイスは代えの利かない特別な選手という差だろう。これは現実的には止むを得ない政治的処置であると思うが、レーヴの行動からは時に過度に戦略的、政治的な部分が透けて見えクルーゼも少々気の毒に思う。クルーゼの代表への扉は公には閉ざされてはいないが、好調で再招集があると見られた昨年のコンフェデ杯で見送られたことを考えると、既に長期的にレーヴのリストからは消されている可能性が高い。

にほんブログ村 サッカーブログ ブンデスリーガへ