日本に出てきて欲しい、トーマス・ミュラーのような選手

先日、DAZNで日本対スイスのテストマッチを観戦する事ができた。私が日本代表の試合を観戦するのは4年前のW杯以来である。今回は突然の不可解な監督交代で酷評されている日本だが、W杯本戦ではいつものように私は応援するつもりだ。興味深く観戦させて貰った。

そしてその印象といえば、4年前と殆ど変わらないといったところだ。守備はある程度機能しているとの評もあるが、守り倒すだけならW杯に出場しないチームでも出来る。やはり、負けるにしても「守って、攻める」形を見てみたい。監督は「形は出来ていた」と言っていたそうだが、私には逆に攻めの形が全く見えなかったのが非常に不安にさせられた。

個人的にはトップ下を廃して、FWを1枚増やした4-4-2か、中盤に運動量が豊富で守備力の高い選手を配した4-3-3の方が現実的な解決に見える。何れにしてもボールを奪ったら相手の守備が整わないうちに、直線的に速く攻める事が重要では無いか。まあ、結局それが嫌だから監督をクビにしたのであろう。あくまで私には日本の4-2-3-1のシステムの「3」の部分に大きな問題があるように映った。

そもそも、過去から現在に至るまで、あくまでFWの得点力に関していえば日本はおそらく出場国中最低レベルである。その日本がワントップを採用するという事は、2列目からゴール前への飛び出しが重要になるのは火を見るより明らかだ。

にも関わらず、4-2-3-1の「3」の選手が全て足元でボールを受けたがるのでは、話にならないと言える。ラストパスを出すべきトップ下の能力も大いに問題だと思うが、スペースに飛び込む2列目の選手がいない事がより大きな問題のように感じた。ドイツで言えば、トーマス・ミュラーのような選手である。そして、このミュラーのような選手こそ、私はいつか日本に出てきて欲しいと思っている。前置きが長くなったが、少しトーマス・ミュラーを紹介してみる。

現在FCバイエルンに所属するトーマス・ミュラーは28歳、今回のロシアW杯ではドイツ代表の2列目の右でのスタメン出場が確実視されている。その最大の持ち味は、先に述べたようなゴール前への飛び出しからの、高い決定力とアシスト能力だ。

私はミュラーのプレーをアリアンツ・アレーナで間近で見たことがある。決して巧くはない。足元でボールを受ければそれ程脅威な選手では無く、ボールロストも比較的多い。ついでに言えば、ガリガリに痩せていて、ややガニ股で、スポーツ選手にも見えない。サッカー選手と言われ無ければ、どうみてもその辺にいる兄ちゃんにしか見えない。

しかし、ミュラーの2列目から危険なスペースを突く能力は突出している。とにかくよく動き、そして動き出しが早い。常にスペースを狙い、危険な位置へ繰り返しスプリントし、相手DFの一歩先にボールに辿り付きゴールを陥れる。そして、そのシュートの大半はゴール正面からの極めて得点確率の高い位置からのものだ。近くに確率の高い味方が入れば躊躇なくそこへパスをする。そして、その判断は後から見ればほぼ常に正しい。

ミュラーのプレーに華はない。極めてシンプルだ。シンプルだが勇気とインテリジェンス、そして意外性に溢れている。更にそのプレーの精度は極めて高い。プレッシャーの中でも慌てずボールを正確に止め、蹴る事ができる。決して格好良いフォームでは無いが、基本に忠実な選手とも言える。

もう一つミュラーについて指摘しておきたいのが、その強いメンタルだ。メンタルが強いと言うと、如何にもプレッシャーに「打ち勝つ」悲壮な決意を連想させるが、ミュラーからはそれを微塵も感じさせない。ミュラーは常にポジティブで、大舞台を楽しんでいる感がある。そのコメントは常にユーモアに溢れ、リラックスし、かつ相手をリスペクトしている。そして実際にミュラーは大舞台で幾つも重要なゴールを決めて来た。私の中では、ミュラーは圧倒的に本番に強いタイプである。

私はこのミュラーこそ、日本でお手本にされるべき選手だと思っている。今年で29歳となり、サッカー選手としてはベテランの域に入りつつあるが、数年後、もしもFCバイエルンでプレー出来なくなった時、ポドルスキのように是非日本に来て欲しい。圧倒的な才能と華麗な技術は無くとも、スポーツは勇気とインテリジェンスで成功できる事を示してくれるだろう。

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