バカンスを取って、一体何をするのか

以前同じタイトルで記事を書いたので、今回はそのリライトである。現在バイエルン州の学校は夏休みの真っ只中であり、多くの家族連れが長期休暇=バカンスを取っている。そういう訳で近所もすこぶる静かで、人通りも普段より少ない。ドイツの場合、週に5日働く被雇用者は年間最低20日の休暇を取得する権利がある。しかし、この休暇の日数は一般的に雇用者との労働契約で取り決められ、殆どの場合20日より多く、30日だったりする事も稀ではない。そして被雇用者は原則その日数を漏れなく消化する。

そして、長期休暇を取ってドイツ人がすることは、やはり旅行だ。ドイツ人は世界でも特に旅行好きの民族として知られている。また、多くのドイツ人は毎年同じ場所へ旅行し、基本的にその場所に留まる滞在型の旅行をする。最もポピュラーな活動は、観光だけでなく、ハイキング、サイクリング、湖や海のビーチでリラックスしたり、船に乗ったりすることだ。ドイツ人が旅行で一人当たりに使う金額は平均すると大体1000ユーロである。

これは結構な額だと思うが、例によっておそらく一部の金持ちが平均を大幅に上げているだろう。中央値になるともっとずっと低い筈だ。おそらく、日本人が抱いているリッチなバカンスのイメージとは裏腹に、地味で質素な過ごし方をしているドイツ人も多い。バカンスだからと言って何週間もビーチ添いの高級ホテルで毎日外食していたら、それこそ家計が破綻してしまう。多くの人は休暇用のアパートを借りて自炊生活、或いは屋外でバーベキューなどをして過ごしている。

もちろん、必ずしもバカンスだからと言って旅行に行く必要はない。ただし、ひとつ言えることは、やはり休暇中は可能であれば遠くへ行ってしまったほうが良いということだ。やはり家にいると、どうしても普段の生活から抜け出せず仕事のことが頭をよぎることがある。しかし、悩んだところで何もできないので、これは精神衛生上極めて悪い。休暇をとっても寧ろ逆効果である。

あくまで個人的な経験から言えば、休暇中は普段とは違う環境で、自らの好きな活動をすることで初めてその意味が出てくる。仕事や生活における良いアイデアも、そのようなリフレッシュした状態から浮かんでくることが殆どだ。ドイツ人の仕事における高い生産性は、そのような休暇中の良い過ごし方を知っているのもあると、個人的には思っている。現在では私も休暇中仕事のスイッチをオフにし、リフレッシュする術を身につけた。

ただ私も日本育ちの日本人であるので、そのような過ごし方は当初全く経験もなく、休暇を取得して一体何をするのか極めて悩ましかった。そういった余暇の健康的な楽しみかた、自分に合ったリフレッシュの仕方を知らなかったのだ。おそらく、日本のサラリーマンも、そのような人は多いのではなかろうか。日本政府があれほど残業撲滅と休暇の取得を奨励しながら、結局、家に仕事を持ち帰ったり、休日でも出勤する労働者が多いのは、詰まるところ自由な時間があっても仕事以上に面白い事がないのも、一つの理由ではないかと思う。

私の経験から言えば、人生を豊かにし、仕事の能率や成果を上げるためにバカンスは間違いなくプラスになる。もちろん、まずはバカンスを取れる世の中になる為に、いろいろと施策を講じるのも勿論大切だ。しかし、取得したところで、一体何をするのか、出来るのか。それが充実していなければ、結局それも絵にかいた餅で終わってしまうだろう。バカンスの文化のない日本では、充実した余暇の過ごし方、リフレッシュの仕方、仕事以外の人生の楽しみ方というのも、若いうちに教育する必要があると個人的には思っている。

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ