積年のライバル、カールシュタットとガレリア・カウフホフが遂に合併する

ドイツでは最近大規模なM&Aというやつが流行りである。企業の合併と買収だ。最も身近なのはスーパーマーケット大手のエデカによるカイザース・テンゲルマンの買収、ルフトハンザやイージージェットなどによるエア・ベルリンの買収もそのうちに入るだろう。そして今週はドイツのデパート最大手、カールシュタット(Karstadt)とガレリア・カウフホフ(Galeria Kaufhof)の合併が正式に発表された。

この両者はドイツに居れば知らない者はいないと言える程の超有名デパートである。都市の中央部に行けば間違いなくこの両者のうちの一つは目に入るからだ。大都市部では両者が隣接して立地している所も多い。共に19世紀の創業という伝統的な老舗であり、創業の地もカールシュタットがヴィスマール、カウフホフがシュトラールズンドというバルト海沿いの街である。両者は直線距離にして120kmしか離れておらず、長年の間ライバルととして凌ぎを削ってきた。

しかし、このドイツで栄華を誇った伝統のデパートも時代の流れについて行くことが出来ず、遂に生き延びるために合併と言う選択に追い込まれた。言うまでもなく、アマゾンをはじめとしたオンラインショッピングが我々の生活スタイルを大きく変革させた。

とりわけ、ここ数年で急激に状況が深刻になったのはカウフホフの方だ。 もともと堅調と言われていたその業績は、2015年にカナダのハドソンベイ会社が買収して以来急激に悪化したと言われている。最近は破産寸前とまでいわれていた。

一方のカールシュタットの方は既に2010年に支払い不能の状態に陥り、経営再建を余儀なくされていた。しかし、2014年に買収したオーストリアの不動産会社シグナが買収して以降、新たな社長の下徹底的なコスト削減とビジネスのオンライン化を推し進め、今年12年ぶりの黒字を確保した。

そう言うわけで、この合併は実質カールシュタットがカウフホフを吸収する形となる。新たに設立される会社への出資率はシグナが50,01%、ハドソンベイが49,99%となり、カールシュタットの社長が引き続き社長の任を受け持つ。経営を統合した後もカールシュタットとカウフホフの名はブランドとして残すとされており、今後店舗が閉鎖されるという報道も特にはない。大企業同士の合併とはいえ、オンラインショップが隆盛の今、カルテル局がこの合併を阻止する事もないと思われる。

しかし、今回合併したからといってその道は決して安泰ではない事は誰もがわかりきっている。まずは多くの職が失われる事は確実で、5000人のカウフホフの従業員が削られる見通しだ。残った従業員の労働条件も低下することは免れない。

また、今後も社会のデジタル化は急速に進むあろうから、既存のデパートでの買い物の需要は更に低下する事は間違いないだろう。アマゾンと言うオンラインショッピングの牙城を崩すのも現状では至難の業だ。事業のデジタル化を進めながらも、既存の店舗を利用しながらも単なるショッピング以上の特別な体験や楽しみを提供する必要がある。今後も茨の道が待っているだろう。

このような厳しい状況の中、唯一経営側からして計算できるのは都市部の不動産の価値が上がり続けている事だろう。ショッピング自体に魅力が無くても都市部の店舗自体がとんでもない価値の商品になる。まあ、これは我々庶民には縁もなく喜ばしくも無い話だ。

いずれにしても、社会経済のデジタル化により、このような大規模なM&Aは今後も増えていき、世知辛い世の中になる。現在ウワサになっているのは、ドイツの銀行のNr.1とNr.2であるドイツ銀行とコメルツ銀行の合併である。これも昨今の情勢を見れば十分に有り得ると言えるだろう。

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