賃貸住居の異常な高騰に対し、ミュンヘンで過去最大規模のデモが実施された

ドイツ都市部、とりわけミュンヘン市内の不動産価格が数年前から異常に高騰しているのはこれまで何度か紹介した事がある。そしてそれは最近になっても一向に下降する気配は無い。その結果、我々庶民が住む賃貸住居の価格はもはや中間所得層にも払えないような額になっており、これに怒り心頭の人々も多いのは当然である。

そういう訳で昨日は”Ausspekuliert”のモット―の下、ミュンヘン市内で賃貸住居価格の暴騰に抗議するデモが催され、これには約10000人が参加した。これはこの種のデモとしては過去最大規模のものだ。Ausspekurierenの意味は辞書には載っていないが、”Aus”=「終わり、締め出し」と”supekulieren”=「投機する」を組み合わせた言葉だと推測できる。

つまり、住居をマネーゲームの対象として扱うのをやめて、人々が住むための本来の目的で建設、利用せよとの意図が込められている。私はこのデモがある事を当日知ったのだが、もし最初から知っていれば参加を検討したかもしれない。それだけこの暴騰する賃貸住居の価格には庶民の皆が怒りを覚えている。

そして、更に怒りを覚えるのは、政治はこの問題に全く手を打てていない事である。というより、この状況を手をこまねいて傍観しているような印象すら与えるからだ。もう何年も前から深刻な問題となっているにも関わらず、状況は改善するどころか、ますます悪化している。

今や新しい賃貸住居を探せば、その大きさにもよるが1㎡あたりの賃貸価格はもはや20ユーロに達する勢いで、つまり仮に4人家族が住もうと思えば家賃だけで余裕で2000ユーロ(26万円〉以上が飛んで行く。新しい住居は高額で外国の投資家などに買い漁られているだけでなく、古い住居も改築されて高級住居と化しており、とても庶民が払えるような金額で賃貸されていない。おそらく既に警察や病院、学校や消防署などで働く、社会に最低限必要な機能を果たす人々もミュンヘンに住むことは難しい。

また、この結果、多くの人が引っ越しする必要があっても引っ越せない、いわゆる住居版「ロックイン効果」がミュンヘンには発生している。とりわけ、若い家族連れと老人はその傾向が顕著である。

前者の場合、子供の数が増えたり成長する事に伴って広い住居に引っ越す必要が出てくるが、これが高すぎてまず無理だ。後者の場合は、逆に子供が自分たちの手から離れて逆に小さな住居に引っ越したいと思うところが、半分の広さで同じかそれ以上の家賃を払わされることになる。市外の田舎に住めばよいとも言われそうだが、これも医者や学校、幼稚園などへの移動時間が長くなり、肉体的、精神的にも負担が大きい。結局、4人家族が2人部屋の住居に住んでいたり、2人暮らしの老人が大きな住居に住んだままという、望ましくない状況が発生している。

更に新たにミュンヘンで仕事を見つけ、他州から引っ越してくる人も市内の家賃は高すぎるので、市外の田舎に住まざるを得ない。これでいわゆる市外からミュンヘンに通勤するいわゆる”Pendler”が大量発生し道路は毎日渋滞となる。この賃貸住居価格の異常な暴騰と道路渋滞は、私がここ数年で最もストレスを感じている社会問題であるが、こうしてみると関連性がある事に気づく。そして残念ながら、我々庶民はこの状況を我慢する以外には殆ど対策はないという事だ。

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