市場で強く渦巻いている、ドイツ銀行とコメルツ銀行合併の噂

少し前にKarstadtとGaleria Kaufhofという大手百貨店が合併した事について記したが、現在噂されている大型合併としてドイツ銀行とコメルツ銀行がある。両者は規模で言えばドイツの銀行のNr.1とNr.2になる。この合併の噂は以前から燻っていたが、数ヶ月前に経済相のオラフ・ショルツがドイツに国際的に競争力のある大型銀行が必要であるとの見解を示して以来、再びその噂が市場で強く渦巻くようになった。そして、現実的に考えれば、この合併は遅かれ早かれ十分あり得る根拠がある。

というのもまず、既に知られているようにドイツ銀行の業績はリーマンショック以降かなり悪化しており、数年前から常時危機が取り沙汰されている状況である。基本的には投資銀行であり国外での事業を柱にしているドイツ銀行であるが、アメリカを始めとした外国のメガバンクに完全に遅れをとっており、今年にはいってユーロストックス50の銘柄からも外された。そもそも、銀行が世界的に巨大化している中で、ドイツ銀行は世界で戦える必要な規模体力を備えていないとされその地位はますます国際的に下がりつつある。

一方国内の部門に関しては、日本で言うゆうちょ銀行にあたるポストバンクを買収しており、今年からシステムが完全に統合した。ともかく、これで国内の多くの個人、中小法人客へのサービスも強化する見込みであるが、元々ドイツ銀行は個人客や中小法人客に冷たいことで結構有名である。儲からない部門だからだろう。2015年には一旦買収したポストバンクを再び売却することが決定されるなど迷走を続けてきた。

ドイツ銀行はひとまずこのポストバンクとの統合を軌道に乗せる必要がある。社長のセーヴィングもまずは自らの収益改善に注力するとして、コメルツ銀行との早急な合併は否定したが、将来的にはこの合併に含みを持たせる発言をしている。

一方のコメルツ銀行も現在非常に厳しい状況に陥っている。コメルツ銀行はドイツ銀行とは逆に国内の個人、中小法人客に強い銀行であり、大手のドレスナー銀行を吸収して巨大化しドイツNr.2の銀行となった。しかし、その僅か2週間後にリーマンショックが起こるという不運に見舞われ、政府から救済される事態となり、現在でも15,6%はドイツ政府の所有となっている。

コメルツ銀行はここ数年、口座開設に70ユーロをプレゼントするなど積極的にキャンペーンを打ち、新たな顧客の獲得に躍起になっている印象を受けていたが、他の銀行同様この低金利時代、利益は殆ど出ていないことは想像できた。

そしてつい最近には、遂にその業績の悪さからドイツ株価指数DAXの構成銘柄から除外される事態となった。コメルツ銀行はDAX創設時の構成銘柄でもあったので、このイメージは非常に悪い。私も昔ドレスナー銀行に口座を持っていた縁でコメルツ銀行にまだ口座を持っている。取り合えず何の変更も影響も無いとは言え、喜ばしくないニュースである。

そしてコメルツ銀行は肝心の業務やサービスのデジタル化に遅れており、その将来性にも大きな疑問符が付いている。因みに、コメルツ銀行の替わりにDAXに上場した企業はワイヤーカードと呼ばれるオンラインでの支払いシステムを提供する会社である。社会の急速なデジタル化を象徴するDAXの新旧交代となった。

この両者の業績の悪さ、将来の不透明さに加え、銀行の巨大化、社会のデジタル化、そしてドイツ政府が国を代表するメガバンクの存在を望んでいるという社会情勢を考えれば、この両者の合併と言うのは遅かれ早かれ確実なように見える。誰が否定しても、この噂がしつこく燻るのはそのような理由があるからだろう。しかし、当然この両者が合併すれば多くの雇用が失われることは確実であり、その他にも社会経済に大きな影響が出ることは間違いない。

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