あまり知られていないAfDの政策 : ディーゼル車の保護

10月14日はバイエルン州議会の州選挙が実施される。そういう訳で、街では至る所で候補者のポスターやチラシを見かける事になる。昨日家に帰ったら私の家にも例によってチラシが入っていた。それは右派ポピュリストAfDのものであったのだが、そのチラシには“Diesel ist super!”=「ディーゼルは素晴らしい!」とデカデカと書いてあるではないか。

AfDと言えば、反難民、反イスラムの政党として有名である。今回の選挙でも例によって“Islamfreie Schule!”直訳すれば「イスラム無しの学校を!」などというスローガンを掲げている。かつてナチスが“Judenfreie Schule!”=「ユダヤ人無しの学校を!」とプロパガンダを掲げたそうだが、確かにそれと変わらない。AfDが何たる連中か良く示しているだろう。

そんなAfDであるが、今ドイツで極めて問題視されているディーゼル車を保護していることはあまり知られていない。知っての通り、フォルクスワーゲンによる例のディーゼル不正事件が起こって以降、それまで大人気だったディーゼル車の評価は地に落ちた。更にドイツの大都市の空気中の窒素酸化物濃度はEUの基準を大幅に超えており、この原因がディーゼル車だとされている。

この為、未だに利用者が多いにも関わらず、ディーゼル車は急速に社会から排除されつつある。そして、今後確実に来るディーゼルの大都市から締め出し、それに伴う車の買い替えやハードウェアの交換などの出費で、我々利用者は多かれ少なかれそのツケを払わされる事になる。この状況に不満、或いは不安を持っている国民は間違いなく多い。

AfDが“Diesel ist super!”などと言うスローガンを掲げるのは、間違いなくそのような国民の不満が背景にある。また、依然としてドイツ経済に絶大な影響力を持つだろう車業界の支持を得ようとしている事は明確だ。確かに、今ここで完全にディーゼルを排除してしまえば、ドイツ経済に大打撃が生じ、一時的に多くの国民の生活の質が著しく劣化する可能性がある。基本的には、現在の政権も早急なディーゼルの締め出しは避ける方針でいる。

しかし一方で、ディーゼルの発する窒素酸化物が人体に害が有るのは紛れもない事実だ。そしてEUと言う国家の共同体で決めた基準値をドイツだけが無視して良い訳が無い。他の政治的な問題と同様、非常に複雑なテーマである。決して「ディーゼルは素晴らしい」などという単純な話で片付けられような問題ではない。

結局のところ、AfDの主張というのは殆どマルかバツかの二択しかない。イスラムはバツ、ディーゼルはマルと言うわけだ。社会がますます複雑になりつつある中、誰もが考える事を放棄し、このような単純明快で民衆に心地良いスローガンが支持を得る世の中になったと思わずにはいられない。

にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ