メルケルの後継者争いは、クランプ=カレンバウアーvsメルツの一騎打ちの様相を呈してきた

メルケルがCDUの党首から退く事を表明し、12月のCDU党大会で新しい党首が決定される。最大与党であるCDUの党首とは、即ち将来のドイツの首相候補を意味する事になるので、世界的にも注目される党首選となる。既に紹介した通り、アンネグレート・クランプカレンバウアー、イェンス・シュパーン、そしてフリードリヒ・メルツの3人が立候補した。そしてこのメルケルの後釜を争う選挙は、事実上AKKとフリードリヒ・メルツの一騎打ちの様相を呈しつつある。

まず、現在38歳の若手であり、現在健康相でもあるイェンス・シュパーンはとりわけ難民移民政策で反メルケルの急先鋒であったが、既にこの争いから脱落したと見られている。シュパーンはこの難民移民の受け入れこそが諸悪の根源的な主張をしており、予想通りこのテーマを全面に押し出してきた。しかし、残念ながら未だにこのテーマにフォーカスする姿勢は寧ろ心象が悪い。逆にアルミン・ラシェットやダニエル・ギュンターなどの党の実力者たちからこれで苦言を呈された。

確かに、2015年に大量の難民を受け入れた事はドイツの社会を大きく変え、AfDを始めとした右派ポピュリストの台頭を許した事は間違いない。しかし、当時は歴史的にも例外的な状況であり、あのCSUのゼーホーファーでさえ難民の受け入れ数に上限を設けるべきと言うに止まっている。ドイツがハンガリーみたいなポピュリスト政権でもない限り、誰であろうと完全に国境を閉じる事は不可能だった。

それを3年経って難民問題が沈静化した今、後出しジャンケンで当時の決断を非難しても得られものは無い。寧ろ今となっては介護、年金問題、環境問題、社会格差の是正などがそれ以上に重要なテーマである。もはや国民が求めているのは、単なるアンチ・メルケルのパロールではない。

更にシュパーンにとって晴天の霹靂となったのが、彗星の如く政界へ復帰、立候補を表明したカリスマ、フリードリヒ・メルツの参戦だろう。これにより、CDU右派のシュパーン支持層は同じ保守系のメルツにごっそり鞍替えしたと言われる。38歳と若いシュパーンに比べ、経験豊富かつ政界、経済界で圧倒的な実績、実力のあるメルツは、この状況でどのように振る舞うべきか知り尽くしている。間違っても、かつてのライバルでもあったメルケルを敵視するような発言はしない。

そのメルツの強みは何と言っても経済分野だろう。折しも、ドイツ経済は長年続いた好景気が終わりを迎え、やや成長が鈍化しつつある。専門性を持った人材不足、アメリカによる貿易戦争に加え、ドイツが遅れていると言われる経済のデジタル化、更にはハードブレグジットの可能性など、ドイツ経済はこれまでのように順風満帆とは行かないだろう。

そして、この状況でこそメルツは正しい処置を施してくれる期待がある。とりわけ、アメリカとの太いパイプを持つメルツは現状冷え切ったアメリカとの関係を改善させる可能性がある。メルツは1週間前の時点では圧倒的な支持を少なくとも国民からは集めていた。

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