国民を真っ二つにして過熱する議論 : アウトバーン時速制限の導入

Es ist aus Sicht der Polizei völlig klar: Unfälle auf der Autobahn und ihre Folgen haben viel mit Geschwindigkeit und physikalischen Kräften zu tun. Hierzulande fahren einige Leute völlig legal 200 oder auch 250 km/h. Um es klar zu sagen: Das ist Wahnsinn. Bei diesem Tempo kann in Stresssituationen niemand sein Auto im Griff haben. Einem plötzlichen Stauende, zum Beispiel, kann man dann einfach nicht mehr ausweichen. Jeder Polizist kann ihnen sagen, wie das ausgeht.

警察の立場から言えば以下の事は明らかだ:アウトバーンの事故とその重大さは時速と物理的な力と大きな関連がある。この国では一部の人々が完全に合法的に時速200キロや250キロで走行する。はっきり言う:これは狂気の沙汰だ。ストレスを持ちながら誰もこのようなスピードでハンドルを握る事などできない。例えば、突然渋滞の最後尾に遭遇したら、それを回避することは不可能だ。

私から言わせれば全く持ってその通りである。確かに時速200キロだろうが250キロだろうが、直線走行なら誰でも出来るかもしれない。しかし、その状態でいきなり前方に車が渋滞で停止していれば、それはとてつもなく危険だ。停止している車でも後方から見れば走っているように錯覚するからだ。

しかし、交通相であるショイアーがなり振り構わず反対している事からわかる通り、近い将来ではアウトバーンに速度制限が設置される可能性は極めて低い。理由は言うまでもなく、まず第一にドイツで最も重要な産業である車業界が黙っていないからだ。とりわけBMW、ダイムラー、アウディ、ポルシェといった強力なモーターを装備した高級車を主力にしているメーカーにとっては悪夢だろう。

一般にドイツで車のモーターの強さを表す指標としては”PS”と言う単位が用いられる。そして、現在ドイツで購入されている新車の平均は154PSだそうだ。私の車もちょうど150PSのステーションワゴンなのだが、おそらくこれで目いっぱいにアクセルを踏めば時速200キロくらいは出る(試したことは無い)。時速130キロくらいなら少々物足りなく感じるくらいだ。そんな車がドイツでは普通なのであり、ざっと見れば300PSを上回るコンパクトカーも最近では珍しくない。景気の拡大に伴って車はここ数年で更に大型化、高速化し、その需要も増している。

また、現在交通事故で命を落とす人間はおよそ年間で3200人だが、このうちの56%は国道での事故によるものだ。そして市街地が31%、アウトバーンは13%に過ぎない。確かにアウトバーンよりは国道の方が圧倒的に危険であることには間違いない。国道の時速制限は100キロだが、対面通行なので対向車が自分の車線にはみ出してくる危険があるからだ。更に暖かくなると国道を自転車が走っている場合もあるので、これも極めて危険だ。

環境面から言っても、ドイツの二酸化炭素排出量の12%が道路交通によるものだと言われているが、アウトバーンの時速制限で削減できるのはこのうちのたった0,5%と言われている。アウトバーンの大部分の区間が時速無制限なのは利用者の立場から言って大いに問題があると思うが、現時点では先にするべき別の対策があるという事だ。

もう一つ、この議論が国民を感情的にしている理由の一つに、ドイツ人の車に対する特別な思い入れがあるだろう。ドイツでは日本以上に車はステータスシンボルでもあり、国のアイデンティティでもある。”Freie Fahrt für Freie Bürger “=「自由な国民の為の、自由な走行」というドイツで有名なスローガンが示している通り、アウトバーンもこれに含まれる。

他にディーゼル問題、電気自動車や無人走行車の普及などにも伴って、今後アウトバーンの在り方も再び議論される事は間違いないだろうが、現時点ではドイツ政府もアウトバーンの全区間に時速制限を導入する意思はないとしている。