小規模航空会社が淘汰され、益々拍車がかかるルフトハンザ・グループの独占状態

今月初め、ドイツ第4の航空会社であるゲルマニアが破産申請を行った。ゲルマニアは1978に設立した航空会社でベルリンを本拠地としており、主に北アフリカや中東への便が多い事で知られていた。

これは2017年にドイツ第2の航空会社であるエア・ベルリン、昨年は同じくベルリンを本拠とする航空会社スモール・プラネットが破産した事に続くドイツの航空会社の消滅だ。つまり、ここ数年で急激に小規模航空会社は淘汰され、ルフトハンザ・グループのような巨大航空会社がますますそのシェアを拡大させている。

因みに国内線に関して言えば昨年の時点でのルフトハンザ・グループのシェアは既に87%(ルフトハンザ55,6%、ユーロウィングス31,5%)にのぼる。8%がイージージェットであり、残りの5%がその他の小規模航空会社のシェアである。

倒産したゲルマニアを誰が買収するかはまだ不明だが、少なくともユーロウィングスはこれで空いた需要の高いデュッセルドルフの発着権の獲得に興味を示しているとされ、ルフトハンザ・グループの独占状態に拍車がかかる可能性が高い。

そして、何故昨今急激にこのような航空会社の再編が進展しているのか、manager-magazin.deに記事が載せられており、個人的に興味深かったので紹介したい。

まず、航空業界は伝統的に極めて利益率の低い商売であるらしい。調査によると2004年から2014年までの航空会社の平均利益率は2,8%だったそうだ。公共性の高いサービスであるし、金額も大きい業界だろうから利益率が低いことは分かるが、それでも私の感覚で言えばこれはかなり低い。上下幅の大きい燃料価格の変動や、地政学上の出来事に左右される不安定なビジネスでもある。

更に飛行機の利用客は過去15年で大幅に増えたにも関わらず、全体的にチケットの価格は下がっている。これは格安航空会社の参入により競争が激化したことが大きい。要するに航空会社はますます薄利多売方式で稼がざるを得ない状況になっており、そうなると便数を飛ばせない小規模航空会社は当然厳しくなる。

もちろん、これはルフトハンザのようなプレミアム航空会社にとっても頭の痛い問題であることは間違いない。知っての通り、コストカットを推し進めたいルフトハンザはパイロット組合と壮絶な労使紛争に陥り、度重なるストライキが発生した。ルフトハンザも安いパイロットを利用したユーロウィングスによる便を増やしている。

また、製造側から言っても、エアバスはフラッグシップでもある大型旅客機であるA380の生産停止を発表した。この機材にはヨーロッパのテクノロジーの粋を詰め込んだと言われたが、ルフトハンザのボスであるシュポーアは「極端に需要の高い路線での利用しか利益が出ないことが明らかになった」とその問題点を述べている。

詰まるところ、航空会社も低価格化により本来の旅客輸送の部門では利益を出すことは極めて難しい状況になっている。そのため、多くの航空会社は合併することで、市場の更なるシェアの獲得を目論み、同時にシステムや業務の共有化、効率化でコストカットを実現するという形で反応している。つまり巨大な航空会社は小規模な航空会社を吸収してますます巨大になる。

この為、現在ヨーロッパでの航空会社は格安航空会社を除けばルフトハンザ・グループのほかに、IAGグループ、エールフランス-KLMグループの合計3つが市場を支配している。グループとして巨大化することで需要の高い路線の一定量を小規模航空会社が赤字でしか運営できないような低価格で提供する一方で、別の路線や部門で儲けて最終的に全体で利益を出すという構造を可能としている。

では、これらの巨大グループが何でもって主に利益を出しているかと言えば、マイルの販売だそうだ。例えばルフトハンザはMiles & Moreと言うマイレージプログラムを持っている。このマイルを我々一般ユーザーは飛行機に乗るだけでなく、ルフトハンザと提携しているクレジットカードやホテル、新聞社といったパートナーのサービスを利用することで集めることが出来る。

つまり、ルフトハンザは自社のマイルをこれらのパートナーに販売し金を儲け、そのパートナーは自らのサービスの利用特典として我々一般ユーザーにそのマイルを付与している。そして、このマイルを集めれば飛行機の割引特典が受けられたり、金券としてワールドショップの品物を購入することができる。

そしてこれは当然、ルフトハンザが巨大で圧倒的なシェアを誇るからこそ魅力的になる。稀にしか利用しない小さな航空会社のマイレージを持っていても意味は無いし、そもそも小規模航空会社はこのようなマーケティングシステムを構築することは不可能だろう。

最近は業界を問わず企業の合併が相次いでおり、巨大な企業はますます巨大になる傾向がある。大手デパートカウフホフとカールシュタットの合併、大手書籍店タリアとマイヤシェの合併、ドイツ銀行とコメルツ銀行の合併も近い将来十分現実味がある。

これらは社会のデジタル化の波に因るところが大きいが、航空業界も現在大きな過渡期を迎えており、就労者から見てもかつてのような安定した花形業界でなくなって来ているのも間違いないだろう。