すったもんだの末に調印されたEUとカナダとの自由貿易協定CETA

今日EUとカナダの自由貿易協定であるCETAが調印された。日本でいうTPPのEUとカナダ版ということだろう。CETAはその規模もさることながら、その内容も賛成派に言わせればこれまでで最も先進的なものとされており、今後に続くであろうアメリカとの自由貿易協定であるTTIPに先立つモデルケースとなるはずの超重要な調印だったのだ。先週のニュースはこの話題で持ちきりだった。

しかし、これも一筋縄ではいかないのがEUだ。本来木曜日にお祭りムードの中で調印されるはずだったCETAは加盟EU28国のうちベルギーがサインできず一度は頓挫した。ベルギー南部のワロン地方が強硬に反対したためだ。

というのもベルギーが国家としてこのような契約にサインするためには、国内すべての地方政府の承認を得なければならないらしい。つまりワロン地方が反対するだけでベルギーはCETAにサインできないということだ。結果としてワロンの人口はEUの全人口の1%にも満たないのだが、EUのCETA調印を阻むだけの力を有することになる。日本でいうと地方の1県が反対するだけで政府は国際的な契約に調印できないようなものだ。こんな馬鹿げた話はないなと思いながら私もニュースを聞いていた。

このEUの調印寸前のお家騒動には当たり前だがカナダはブチ切れで、結局予定された木曜日の調印はキャンセルされた。しかし、その直後にベルギーはワロン地方と合意し、再び今日調印するという運びになったわけだ。最終的に自分たちに有利な付帯条項を取り付けることに成功したワロンは得をしたかもしれないが、それ以外の圧倒的大多数の人間及び、とりわけカナダにとっては無駄な大騒ぎだったと言って良い。

私はこのワロンが寸前になってゴネ得をしようと騒ぎ始めたのか、もともとこの段階での調印に反対していたけどEU側が無視していたのか知らないので、誰がこの騒動の責任があるとは言いにくいが、何れにしてもEUが国際的に赤っ恥をかいたのは間違いないだろう。

EU側は今日無事に調印を済ませたことで「終わり良ければ全て良し」なんて言っていたが、これで終わりなんてことはない。どう考えても今後こう言った重要な条約を締結するための新しい仕組みを作る必要があるだろう。EUの条約を締結するのに、加盟各国内の政治的事情に振り回されてこんな馬鹿げた騒ぎを繰り返すわけにはいかない。そもそも難民問題や経済格差にBrexitもあり、EUなんて上手くいくわけがないという人間も大勢いる。

しかし、当たり前になったから誰も気づかないが、統合によってもたらされた豊かさというのも多くあり、とりわけドイツはその恩恵を最も被っている国の一つと言われている。今回CETAが調印されたことで、いわゆる経済のグローバル化というやつがまた進んだ。多数の反対の中でも少なくともEUはドイツが中心となって今後もこの路線を推進していくだろう。