ドイツポスト、遂に夜間配達サービスを開始する

日本で宅急便のサービスと言えば2時間おきに受け取りの時間指定が出来るのが当たり前だろう。しかし、ドイツではそんなサービスは当然ない。何時に荷物が来るのかは分からないので、どうしても荷物を受け取りたければ待っておく必要がある。或いは待っていても来た時にたまたまトイレに行っていたり、シャワーを浴びていれば当然受け取れない。

そんな時は隣の人に受け取ってもらうか、自ら身分証明書を持ってポストに取りに行く必要がある。或いは初めから受け取れないことが分かっている場合、私は利用したことが無いが、あらかじめ近くのステーションかショップに配達してもらい、そこに自ら荷物を取りに行くかだ。もう慣れているとは言え、ネットでの注文が増えた昨今これは私も少々不便だなと思っていた。

しかし、そんな不便も条件付きではあるが終わりになる。ドイツポストはこの程、受取人の希望に応じて夜間配達のサービスを遅くとも6月末までに開始することを発表した。夜間と言っても18~21時であり、サービスは大都市部の地域に限られる。

また、この時間帯に配達を希望した場合、ひとまず1,99ユーロの追加料金が取られ、これはその後2,99ユーロに値上げされる。しかし、こんな時間に荷物を配達するなどドイツでは考えられなかったし、基本的に誰も求めてもいなかった。本当に世の中も随分と変わってきた。

ドイツポストがこの程、夜間配達のサービスを始める背景には、景気が良いことに加えてネットショッピングの爆発的な増加がある。余りにも配送の量が多くなりすぎて、通常の時間内に郵便物を配送することが不可能になりつつあるからだ。時間が少々遅れるだけならまだ良いが、郵便物を失ったり間違えた場所へ配達したりのミスも続出して、多くのクレームが発生する事態になっている。

昨年は調停までもつれたクレームが1000件あり、これは2016年の4倍の数だ。今年も既にここまで2016年全体と同じ数のクレームが発生しており、夜間配達サービスで配送時間枠を広げる必要が出てきたという事だろう。

但し、この激増する配送物の数は2025年には現在の2倍にまでなるとも言われており、そうなれば少々配達時間枠を広げたくらいでは対応できない。それどころか運送業界では既に市場で運転手を見つける事さえ困難になっている状況だ。

時間に押されながらどんな天気だろうが重い荷物を運び、違反や事故なく安全に受け取り人に荷物を渡すという仕事は、決して楽ではない。また、多くの収入を得られる仕事ではないので人手不足になるのも当然だ。

配達業者に限らずドイツでは景気の良さもありサービス自体は全体的に広がりつつある。これは我々消費者にとっては有難いことだと言える。しかし、その一方で労働者がフェアな条件で働ける環境を確保することが難しくなってきているのも事実だ。

そのような状況である以上、人件費をはじめとした諸費用は今後必然的に上がるであろうし、それらは我々消費者に値上げという形で帰ってくる。そしてそれは致し方ないことだ。ブラック企業でなければ成り立たないようなビジネスモデルを蔓延させないためには、我々消費者のモラルも大切になってくるだろう。