ドイツに優勝をもたらした、マリオ・ゲッツェの才能とミロスラフ・クローゼ

日曜日の決勝戦は私は余程のことが無ければドイツの勝利は固いであろうと思っていたが、いざ試合が始まるとそのような楽観的な予想はすぐに覆されるような拮抗した展開でハラハラの連続であった。

まずケディラは突然の欠場で、代わりのクラマーも怪我をして交代。ドイツは予想通り一方的にボールを保持するが、ひとたびメッシにボールが渡るとドイツにとって一気に危険な雰囲気が出てくる。メッシは数人で囲まれても巧みにボールをキープし、逆に引きつけて決定的なラストパスを狙っている。MVPになったことに批判もあるが、得点やアシストがなくともその存在感はまさに別格だったと言えるだろう。後半立ち上がりの決定的チャンスを外してくれたのはドイツにとって完全な幸運だったと言う他ない。

他にも、クロースのバックパスを奪われたシーンや、後半フンメルスが目測を誤ったシーン。また、ノイアーが勇敢に飛び出したシーンもあったが、これも間一髪先にボールに触ったから良かったものの、そうで無ければPKを取られてもおかしくはなかった。

たしかにドイツは時間が経つに連れて少しずつ地力の差を見せ始め、試合を優位に進めた。しかし、アルゼンチンは時折荒っぽいプレーを織り交ぜてドイツの焦りを誘ってくる。延長後半になってもスコアは0-0のままで、私はもうPKによる決着は避けられないと感じていた。

しかし、その停滞ムードの中、試合を決めたのは交代出場のマリオ・ゲッツェだった。ゲッツェの素晴らしいところは、あのような比較的難易度の高いシュートを如何にも簡単そうに決めてしまうところだ。無駄のない身のこなしに、シュートの精度、それをあの場面で発揮できる冷静さ、見事という他ない。ゲッツェのプレーには派手さはないが、高い技術と機械のような冷静さと正確さを兼ね備えた新しいドイツの天才と言えるだろう。詰まる所、彼のような選手を試合終盤まで温存出来る事がドイツの強さであり、アルゼンチンとの差になった。

もう一つ、準決勝でついにW杯の通算得点記録を塗り替えたミロスラフ・クローゼについて言及しておきたい。前記録保持者だったロナウドとクローゼを比較すると、私はまさにウサギと亀の童話を思い浮かべてしまう。彼らは別に競争していたわけではない故、比較する必要はないかもしれないが、圧倒的な天才よりも、努力型の秀才の方が最終的には上回るという好例だろう。

ドイツ低迷期からチームを支え、あらゆることを経験してきたクローゼは、長いスパンで見れば今回のメンバーの中では最大の功労者であろう。そして、そのクローゼが最終的にチャンピオンとなり、歴史に残るストライカーとして名を残すことを私は本当に感慨深く、素晴らしい事だと思っている。