チェコ戦で期待を抱かせた、ドイツ代表の若手選手たち

水曜日にテストマッチのドイツvsチェコ戦が行われたので感想を記しておきたい。今年の9月以降、代表戦はおよそ3日おきに3試合行うというハードスケジュールが組まれており、これは監督のヨアヒム・レーヴも不満を漏らしていた。つまり、このテストマッチは完全な若手選手中心のBチーム的な構成となり、続くネーションズリーグの2試合で主力選手を投入する事になる。

この悪く言えば「寄せ集め」のチームで私の観戦モチベーションも当初は極めて低かったが、若手選手たちにとっては願ってもないチャンスでもある。忘れもしないが、21世紀最高の選手でもあるフィリップ・ラームは2004年デビュー最初のテストマッチ2,3試合で不動のスタメンの位置を獲得した。まず試合を簡単に振り返る。

ドイツは開始早々から試合の主導権を握る。13分に右サイドを攻め、ノイハウスのミドルシュートを弾いたボールを左サイドのマックスが中央へ折り返し、これをFWのヴァルトシュミットが流し込んで先制した。この後も終始ドイツが試合の主導権を握り、ドイツは追加点のチャンスを何度か得るが、決めきれないまま前半は1-0で終了した。

後半もドイツがペースを握るが試合に前半ほどのダイナミックさはない。80分頃になると例によって急にドイツの守備陣はドタバタし始めチェコが同点のチャンスを得る。特に82分、ドイツはゴール正面から決定的なヘディングを許すが、これはGKトラップがスーパーセーブでボールを弾き出し事なきを得た。試合はこのまま1-0でドイツが勝利した。

この日の発見は何と言っても中盤でギュンドアンとコンビを組んだフロリアン・ノイハウスだろう。ノイハウスはボルシアMGに所属する23歳で先月のトルコ戦に引き続き2度目の代表戦となった。この日は殆どのドイツの攻撃に起点として絡み、更に自らも5本のシュートを放つだけでなく、守備でも豊富な運動量で1対1の勝率は82%と、その存在感は際立っていた。

元々はトップ下の選手だったようだが、現在クラブのボルシアMGでは中盤の底、いわゆる6番のポジションを務める。同じポジションにはクロース、ギュンドアン、キミッヒという実力者がいるが、レーヴは前線の選手を削ってこのノイハウスをメンバーに抜擢する可能性は十分にある。おりしもキミッヒが怪我で離脱中であり、プレースタイルから言ってもノイハウスはそのバックアップとして最適であろう。

ついでに言えば、この選手なかなかハンサムでスター性もある。クラブも今季はチャンピオンズリーグでレアルと引き分け、ドネツクに6-0で勝利するなど台風の目となるかもしれない。今後メディアに名前が登場する機会も増えてくるのではないか。個人的には火曜日のスペイン戦で是非スタメン起用して欲しい選手である。

次に挙げておきたいのは、この日3バックの中央で先発したDFロビン・コッホである。コッホは今季から現在イングランド、リーズユナイテッドに所属する24歳である。代表は5試合目であり、既に何度かそのプレーを見たが、この選手の特徴は191cmと大柄ながら非常に足元の技術に優れ、非常に配給力も高い点だろう。つまり、代表で言えばマッツ・フンメルスのプレースタイルに近い。

現在の代表の守備陣は主に屈強なストッパータイプで構成されており、フンメルス、ボアテングを干して以降ゲーゲンプレスの対応に不安が見える。ノイアーへのバックパスの数など以前より圧倒的に増えた。そう言う意味でもコッホのようなタイプは非常に重宝されるべき存在であろう。チェコ戦ではあまり攻め込まれる場面がなかった為評価は難しいが、クラブでも移籍早々既に定位置を掴んでおり、順調に成長している跡が窺える。

最後に挙げたいのが、この日FWで先発し得点を上げたFWルカ・ヴァルトシュミットである。ヴァルトシュミットも24歳、今季よりポルトガル、ベンフィカ・リサボンに所属し、既に7試合で4得点を上げている。ヴァルトシュミットは昨年行われたU21欧州選手権で7得点を上げて得点王に輝いて一躍その名をドイツサッカー界に知らしめた。

182cmと大柄ではないが、左利きでテクニックに優れたタイプのセンター・フォワードで、得点だけでなくオールラウンドな仕事が期待できる。私の印象では円熟期のミロスラフ・クローゼに巧さを加えた感じで、まさにヨアヒム・レーヴが好むタイプの選手だと言えるだろう。このポジションは長年ドイツは人材不足に悩まされているだけに、今後の更なる成長を期待したい。