難民の勇気に救われたザクセン州役人のお粗末な仕事

先週ザクセン州のケムニッツという街に潜伏していたシリア人のテロリストが逮捕された。報道によるとドイツ国内の空港のテロを目論んでいたらしい。何とか大事になる前に逮捕となり良かったと言いたいところだが、事の顛末を聞くと決してそうとは思えない。寧ろザクセン州の役人の仕事のレベルが低い事が判明した。

メディアの報道によると、9月ごろからテロが計画されているという情報はすでに掴んでおり、このテロリストがケムニッツに潜伏している事が先週の金曜日に判明したらしい。これは当然この地域を管轄しているザクセン州の警察に連絡され、警察は捕獲するべくテロリストが潜伏しているアパートを包囲した。

しかし、そこには多数のアラブ系の名前があり、該当のテロリストが建物内のどこに住んでいるかまではわからなかったとの事だ。やや語弊があるが、そうしてウロウロ作戦を立てて準備をしている間にテロリストに逃げられてしまったのだ。はっきり言ってこれだけでも大失態だろう。

テロリストが逃げた先はケムニッツからおよそ80キロ離れたライプツィヒだったが、ここでこの男を捕まえたのは事もあろうに警察ではなく同胞のシリアからの難民だった。テロリストはライプツィヒの駅で宿を借りたいと3人のシリア難民に話しかけ、この3人はこの男がテロリストと知らずに家に連れて帰ったところ、指名手配中のテロリストである事に気づき自宅のソファに縛り付けて警察に通報し逮捕に至ったらしい。

普通の人間ならテロリストなんか近づきたくもないが、知らずに家に連れて帰ったとは言え、こんな超のつく危険人物を自宅のソファに縛り付けるとはさすがに死地を切り抜けてきた人間なのか肝が座っている。この難民の正義感と勇気は賞賛されると同時に、これはまさに幸運だったと言って良いだろう。

それでも経緯はともあれテロリストが逮捕されてホッとしたのもつかの間、次なる驚きのニュースが昨日舞い込んできた。このテロリスト、勾留中に自決したのだ。これにはさすがに各方面から「あり得ない」と管理していた刑務所の役人を非難する報道が相次いだ。

テロの実行犯を生け捕りにしたのはテロ組織を解明が進むまたとない好機だったにも関わらずそれをフイにした責任は重い。自爆テロをするような人間はつまり逃げ道が無くなれば自決する事ぐらい専門家でなくても想定内だ。

そして、この後に及んで自らに非はないと自己肯定するライプツィヒ刑務所の役人は醜いという他ない。こんな時にまで堂々と自己肯定できるのは本当に悪い意味で驚かされる。然るべき責任を取り、少なくとも自らの仕事を批判的に分析するのが正しい処し方であろう。

ザクセンはこのところ過激右派の暴力事件や品のないデモが頻発しネガティブな意味で注目されることが多いが、それもなるほどと納得してしまう。治安が悪い原因は役人の仕事レベルが低いのもその一因と思わずにはいられない。