フランス北東部、アルザス地方に行ってきた感想

このところ何かと忙しい日々が続いていたが、ひとまず休暇に突入したのでフランスのアルザス地方へ行ってきた。

アルザスとはフランス北東部の地域であり、ドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルク州と接している。目的は映画「ハウルの動く城」の舞台にもなったと言われるコルマール、フランスで最も美しい村と言われるリクヴィルなどの観光である。

まず最初に訪れたのはリクヴィルで、こちらは非常に小さい街だったが街は観光客で溢れていた。

コルマールの最大の見どころはやはりプティット・ベニスと呼ばれる川沿いの歩道である。ボートに乗って遊覧したかったが、残念ながら混み合っており不可能だった。

アルザスは国境地帯の例に漏れずドイツに支配された時期もあり、街自体は非常にドイツに良く似た印象を抱かせたが、これほど迄に古い街並みが残っている場所はドイツには多くない。また、全体的に建物の装飾や人々の服装などがドイツよりも鮮やかでカラフルである。

レストランは美味しそうなところはどこも混み合っており、席を見つけるのに非常に難儀した。また誰もしっかりと食事に時間を取るのか、席がなかなか空かない。但し食事はいずれも美味しかった。料理自体はやはり肉が中心でドイツに良く似ているが、味付けがマイルドで日本人の口に合うのではないか。

そしてアルザスで欠かせないのが、やはりワインであろう。ざっとこの地方を車で走れば見渡す限りのワイン畑が広がっており、先に挙げたコルマールやリクヴィルでも至るところにワイン屋が存在する。事実アルザスの白ワインは非常に美味で、私はスーパーで大量に買って帰った。ワインには詳しくないが、大体リースリングを買っておけば間違いはない。

因みにスーパーではドイツよりも圧倒的に食材が豊富で、海産物や惣菜なども多く売られている。アルディやリードルなどの激安スーパーが幅を利かせるドイツとは全く異なる様相である。

言語は基本的に常時フランス語が使用されており、私もあらゆる場所でフランス語で話しかけられた。ドイツ語、英語は若干通じるが、観光地を除けば歓迎されてはいない印象だった。ドイツに近いとは言え、やはり国境を越えれば全く違う文化圏である。

最後に今回の旅行において最大の難関となった点として、フランス、ドイツ両国におけるコロナ規制を挙げておく。入国、出国のルールはもちろん、フランス国内のルールを把握しておかなかければ何も出来ずに終了してしまう故、事前に相当な準備を要した。

まず、現時点ではドイツからフランスへの入国は可能だが、12歳以上はワクチン接種が「完全接種済み」の者か、テストでの陰性を証明する必要がある。またフランス国内の滞在においてもレストランやその他施設に入るには、同様の証明が必要である。証明はTousAntiCovidと呼ばれるフランスのアプリに証明書を登録し入場の際に提示した。

またアルザス地方からドイツへの入国に関しても、現時点では隔離施設などに入る必要はないが、同様に12歳以上は完全接種済みかテストでの陰性の証明が必要となる。ドイツの場合「完全接種済み」の定義は2度目接種の14日後になる。これに家族一人が数日不足していた為、フランスでテストを受け陰性を証明する必要があった。テストはコルマールの薬局で受けて証明書を発行してもらったが、抗原検査で25ユーロ自己負担せねばならない。

いずれにしても、国境を越える際には十分にルールを把握しておかなければ、かなり面倒な事になる可能性がある。特にテストの有効日数、或いは完全接種済みの定義も国によって異なるので厄介だ。また、旅行先で問題なくテストが受けられる約束など何処にもないので、良く良く注意されたい。