ドイツで賃貸住居を契約する際に、知っておいた方が良い事

これは、理論上このインフレ率がマイナス、つまりデフレになれば値下がりをする可能性を秘めたものでもあるが、昨今の情勢を見ればデフレなどあり得ない。つまりこの形の契約をすれば入居後も確実に家賃が上がると言う事だ。

もっとも、家主は毎年適切な時期に消費者物価指数などをチェックし、データや計算式などを示した書面で値上げの旨を借主に連絡しなければならない。これは面倒なので、この契約をしたからと言って自動的に値上げが来るわけではない。実際には、不動産屋に勧められてインフレ連動型契約をした貸主が、10年間値上げをしなかったという例もある。

そこでよくあるのが、インフレ率が一定の数値を越えたら値上げをするいう契約である。例えば、5%に設定すれば今の流れで行けばおよそ3年後に一度値上げが来るというパターンだ。この場合、おそらく数年間は賃貸契約を解約できないというルール(Kündigungsausschluss)とセットになる事が予想される。

何れにしても、今後の傾向は明白だ。多くの不動産屋および貸主は、まずは「賃貸価格ブレーキ」のルールを潜り抜ける為に、古い住居は改築するだろう。そうすれば、相場よりも遥かに高い価格で貸し出すことができる。そして、更に賃貸後の値上げの可能性を確保するために、インフレ連動型の賃貸契約を結ぼうとする。

そして、このインフレ連動型の契約内容は、交渉も大詰めで契約書にサインをする段階で突如出現することもあるので、これはよく注意した方が良い。必ずしも”Indexmiete”とは書かれておらず、遠回しかつ難解な文言で書いてあるので、よく読んで理解しておく必要がある。

逆に言えば、現在のミュンヘンで常識的な価格の住居を賃貸したければ、改築されていない住居を、通常の賃貸契約で借りれば良いという事になる。しかし、これも長く住むなら必ずしも良いとは限らないので厄介だ。

何故なら、古くて熱効率の悪い家なら当然暖房や温水を多量に使うので、その費用が高くなるからだ。折しも、地球温暖化対策で、カーボンプライジングが実施され、ガスや石油の価格はこれまでよりも更に上がる。更に2026年までに石油による暖房システムは禁止されるので、これらの住居は確実に改築される。

その場合、改築費用の8%は住んでいる借主に転嫁される上に、その間一時的に住居は住めなくなる可能性があり、改築された後確実に家賃は上がる。これは6年間で最大1平方メートルあたり3ユーロとの制限があるが、100平方メートルの住居なら最大月300ユーロの上昇になる。これは決して小さくない。

そういう訳で、現在新たにドイツで賃貸契約をしたい場合、これらの事情を良く踏まえた上で行動するべきだ。もっとも、ミュンヘンなどの都市部は依然として異常な「貸し手市場」であることも忘れてはならない。渋っていたり、ウロウロ熟慮しているうちに、次の候補者に物件は取られてしまう。どんな状況でも即断即決できるように、しっかりとした準備をしておく事が重要だ。