8月も終わりに近づき、徐々に秋の気配が漂い始めてきた。新型コロナに関してこのところ最も問題視されていた事が、バカンスによる帰国者がウィルスを持ち帰る事だったが、ドイツは新たにフランス、クロアチアの一部なども危険地域に加えて引き締めにかかっている。よって新規感染者数に関してはこの所再び横ばいになってきた。
もっとも、バカンスシーズンも終わると同時に人々の生活も通常運転に戻る。市内には再び人が溢れ、学校も保育所も再び人で一杯になる。常識的に考えれば冬に向けて再びウィルスも活発化し、新規感染者、重症者も増えると予想される。ドイツは今週首相のメルケルが自ら記者会見に臨み、今後に向けての新たな新型コロナルールを明らかにした。
まず、マスク装着の義務を怠った場合、州に関わらずドイツ全土で「少なくとも」50ユーロが課される事になる。唯一ザクセン・アンハルト州のみこのルールを受け入れないとしており、例外扱いとなる。
店舗や公共交通機関内でのマスクの着用自体はロックダウンの解除時に義務化されたのだが、結局この取締りは州によって異なっており、一部でうやむやになっていた部分も否めなかったが、これで罰金の徴収が徹底される。ただ、あくまでも最終的に罰金の額を決定するのはやはり各州であり、バイエルンは250ユーロという圧倒的に高い罰金が課される。
また、バカンスシーズンという事で外国からの帰国者に関しては無料でテストを受ける事が可能だったが、これは少なくとも「危険地域」外からの帰国者は9月16日から再び有料になる。「危険地域」からの帰国者は有無を言わさず原則的に14日間の隔離が義務化され、この隔離は帰国から5日後以降のテストで陰性が証明される事で解除が可能となる。このテストを誰が負担するかはまだ明らかになっていない。
結果として、テスト数は減らす意図があるわけだが、これは結果分析の仕事が検査量に追いつかない事に加え、国の財政的にも負担が大きい事が理由である。
確かに、一度バイエルンでは旅行からの帰国者およそ44000人にテスト結果の連絡が行き渡らないという大失敗があり、そのうちおよそ900人は陽性だったとされるので、非常に大きな問題となった。もっとも、そのバイエルンのみは引き続き空港と駅で無料のテストをするとしており、例外扱いとなる。
接触経路が追跡できない、或いは感染防止対策が不可能な大規模イベントは引き続き今年の末まで禁止となる。どうしても催したければ十分な感染防止対策を施すことで可能になるかもしれないが、そのコストと労力、失敗のリスクなどを考えれば殆ど不可能だ。サッカーのブンデスリーガも少なくとも10月の末までは観客なしの開催になる。おそらく、今年はクリスマスマーケットの開催も厳しいだろう。但しメッセの開催だけは例外として認められる。
総じて言えば、マスクの装着の徹底と厳罰化、テストの代わりに隔離を義務化する事によって「危険地域」への旅行に関しては事実上渡航制限が復活した状態となった。特にマスクに関してはバイエルン州でうっかり忘れて250ユーロ失う事がないよう、十分に注意する必要がある。また日本で言う所の変な自粛警察の割合はドイツでは低いが、このような状況を利用して外国人を攻撃したり嫌がらせをする連中は一定数存在する。個人的にはこのような面倒な連中も警戒している。
つい最近ロベルト・コッホ研究所は来年の初め頃までにワクチンの完成を見込んでいるというニュースがあり、これが事実であればかなりの朗報となる。しかし、当然ワクチンが全ての人々に行き渡るまではもっと時間がかかるので、その場合おそらく医療関係者の人々などを優先的に接種する事になるだろう。この冬をなんとか乗り越えれば、なんとか通常の生活の戻れる希望が出てくると言う所だろうか。