思わず吹き出してしまう、ドイツ鉄道の車内アナウンス

早いもので今年も終わりに近づき、月曜日はクリスマス・イヴである。多くのドイツ人にとってクリスマスは一年で最も重要は祝日であり、家族と過ごすのが一般的だ。多くの人々がこの週末を利用して家族や親戚の待つ故郷へ帰る。そして、この季節に本来活躍すべきなのがドイツ鉄道である。

しかし、そのドイツ鉄道であるが1994年の設立以来最大のピンチに陥っていると言っても過言ではない。これまで何度も取り上げてきた遅延や欠便は益々酷くなり、今や長距離列車の全体の3割が5分以上遅延する事態になっている。

更におよそ8割の列車には何かしらの故障があるとされており、線路の老朽化も著しい。記録的な借金で経営状態も最悪な上に、2週間ほど前はストライキが敢行されドイツ全土の鉄道が麻痺状態となった。

遂に見かねたドイツ政府もこのドイツ鉄道の状況に大いなる懸念を表明し、抜本的な構造改革を要求する事態となっている。

ドイツ鉄道は国営企業なので、はっきり言えばこれまで必要な投資をケチってきた政府にも大きな責任がある訳だが、ドイツ鉄道の酷さに人々は既に怒りを通り越して呆れかえっており、もはやブラックジョークのネタとして扱うくらいしか、その存在をポジティブに捉えられない。

そう言う訳でマルク・クリューガーという人物がかねてよりこのドイツ鉄道の車内アナウンスを収集し公開し、本を出版までしているので紹介したい。この中でも特にブラックジョーク的なものをwatson.deが取り上げている。

まずは表示のトラブルだ:

Im ICE: “Die Wagen 31-39 fahren ab Hannover weiter nach Frankfurt, 21-29 nach München. In welchem Wagen Sie sich befinden, können Sie leider nicht sehen, da unsere Bordelektronik ausgefallen ist.”

ICE運行中 :31号車から39号車はハノーファーからフランクフルト方面へ、21号車から29号車まではミュンヘン方面へ向かいます。乗客の皆さまが現在何号車に乗っているかは、車内の電光掲示板が故障している為、残念ながらご覧いただくことは出来ません」

ICEに乗っていると、運行中にどこかの駅で車両(Wagen)が分離して別々の方向へ向かうことが良くある。この場合、車内アナウンスで何号車両がどこの方面に向かうのかアナウンスされるので、よく聞いておかなければならない。しかし、当然ながらそもそも自分が何号車に乗っているか知っておく必要がある。この手の電光掲示板の故障はもはやお約束だ。

表示関連では他にも:

“Die Zugnummer wird falsch angezeigt. Wir sind der ICE 559 nach Berlin. Wenn Sie also in die Richtung wollen, ist alles gut. Wenn Sie NICHT in die Richtung wollen, tja… wir fahren bereits.”

「列車番号が間違って表示されています。我々の列車はICE559でベルリンに向かいます。もしも皆さまがその方向に向かうのであれば、全く問題ありません。もしも別の方向へ向かいたかったなら、さあ・・・もう発車してしまっています」

列車番号は普通”ICE000″のようになっており、列車が到着し乗る直前に確認して間違いのないようにする。この列車番号が一致しないケースに遭遇したことは私もあり相当焦った。しかし、乗った後に言われても後の祭りだ。

次は定番の遅延アナウンスである:

Die Weiterfahrt verzögert sich, weil der Sicherheitsdienst unseren Lokführer nicht erkannt und ihn mitgenommen hat!

先への運行が遅延しています。なぜなら警備員が運転手と知らず、彼を連れて行ってしまったからです!

ドイツでもさすがに列車の運転手は制服を着ているだろうから見分けはつくと思うのだが、なにか疑われるような振る舞いをしたのだろうか。にわかには信じがたいのだが、運転手が機内におらず遅延するケースはあるようだ。

次も遅延だが、完全に開き直っている: