バイエルン州、病院患者受け入れ数をコロナ政策の新たな指標とする

夏がそろそろ過ぎ去り、またもや新型コロナの新規感染者数が増えてきた。現在のドイツ全体の10万人あたりの新規感染者数はおよそ80名であり、先週はおよそ72名であった。明らかな増加傾向である。これまで、この新規感染者数はロックダウンや、その他数々の制限を実施する為の指標となっており非常に重視されていた。日本でも同様だと思われる。

しかし、バイエルン州では先の木曜日からこの数値はそれ程意味を持たなくなった。代わって新たな指標となったのが、病院でのコロナ患者の受け入れ数である。これらは数値によって信号機に倣い、赤、青、黄色の3色でその度合いが表示され、色が変わる度にルールも変わる。

具体的には、バイエルン州内の病院がコロナ患者がを日以内に1200人以上を受け入れた場合、信号は青から黄色になる。この場合、通常の医療用マスクから再びFFP2マスクの着用が義務づけされ、コロナテストも抗原検査ではなくPCRテストが公に認められるテスト手段となる。更にイベント参加などにおける人数制限も復活する。

そして州内の病院で600人以上が集中治療室に入った場合、この信号は赤になる。この場合、具体的にどのようなルールが適用されるかはまだ決定されていない。一応、これまでのようなロックダウンの措置は無いとのことだが、学校がオンライン授業になったり、ホームオフィスが義務付けされるなどの措置があると思われる。

因みに、現在の病院でのコロナ患者数は269名でうち172名が集中治療室に入っている。よって信号はまだ「青」である。これまでのバイエルンでの病院患者受け入れの最高値は1750だった。

いずれにしても、新規感染者数よりも、重症者数を重視した政策に完全に切り替わり、これは概ね好意的に受け止められている。言い換えれば、コロナ撲滅はもはや不可能なので、共存する方向へ舵を切ったという事だろう。私もこの方針には賛成である。私の知る限りこのルールは取り敢えずバイエルンのみだが、他州も後に続くのではないか。

但し、これまでの新規感染者数が全く意味が無くなった訳ではなく、この数値が1週間、10万人あたり35名を越えていればいわゆる”3G”と言われるルールが屋内への入場では原則適用される。

“3G”とはコロナに関して既に”geimpft”=「ワクチン接種済み」、”genesen”=「回復した」、”getestet”=「テスト済み」の3つであり、この3つの何れかを済ませた者でなければ屋内には入場できない。もちろん例外はあり、公共の交通機関やスーパーなどの生活必需品の買い物などは問題ない。

この10万人あたりの新規感染者の数値が35を下回る事はおそらく今年から来年前半までは無いだろうから、このルールはほぼ常時適用される。

同時にワクチン未接種者の生活におけるデメリットは今後ますます大きくなる。というのも、これまでは誰でも無料の抗原検査を何度でも受ける事が出来たが、このテストは10月から有料になる。テスト結果は基本的に24時間のみ効力があるので、未接種者は何処かへ行く度に有料のテストを受ける必要がある。(もちろん持病持ちや子供などの例外はある)。

また、ZDFによると8月中旬の時点ではコロナで入院している患者の90%、集中治療室に入った者の94%がワクチン未接種者である。もちろん、今後ワクチン接種率が上がり、効き目が時間と共に弱まることがあれば接種者が入院、重症化する割合も増えると思われる。

しかし、ワクチンがコロナ重症者化を防ぐ効果があるのは明らかなので、多くの人がワクチンを接種すればする程、今後冬に向けて新たな厳しいコロナルールが発動するリスクは低くなる。今後も政府は未接種者に間接的にデメリットを享受させることでワクチン接種率を上げにかかると思われる。尚、3度目の接種に関しては、一部のリスクの高い者を除けば、今のところ推奨はされていない。