チーズと言えば、およそ多くの日本人はフランスやイタリアを思い浮かべるだろうが、実はドイツでもチーズは好んで食されている。特にバイエルンはおよそ400種類のチーズが生産されており、国内生産の40%を占める。その中でもアルゴイ地方(Allgäu)は特に良質のミルクが生産されるとされ、乳製品の品質が非常に良い事で知られている。
アルゴイ地方とはミュンヘンのおよそ南西部に広がる地方であり、アルプス山脈の一部が含まれている。車で走れば至るところの高原で牛が飼育されており、酪農が盛んな地域だと直ぐに分かる。典型的バイエルンの風景だ。
そのチーズであるが、特に有名なものとしてはまずアルゴイ・エメンタールが上げられる。エメンタールはスイス発祥であり、俗にスイスチーズと呼ばれるが、このアルゴイ産のエメンタールは独立したブランドとしてEUから保護されており、ドイツで最も人気のあるチーズでもある。特にバイエルンではブレーツェルと共に食される事が多い。
このアルゴイ・エメンタールと似ているが、アルゴイ・ベルクケーゼも有名である。エメンタールよりも穴が小さいタイプのハードチーズで、若干味が濃厚で辛めとされる。通常のパンとやサラダと共に食されるか、この地方の名物料理でもあるケーゼシュペッツレの材料として加熱される。
更に個人的に気に入っているのが、ババリアブルーと呼ばれる青カビと白カビが組み合わさったタイプのチーズである。このチーズはBergaderと呼ばれるチーズ製造会社の商品であり1970年に開発された。現在ではスーパマーケットに行けば確実に見つける事ができ、味のタイプも何種類か揃えている。
基本青カビのチーズはクセが強すぎて私はあまり好まないのだが、このババリアブルーだけは割と食べやすいと感じている。スーパマーケットでこれまで色々なチーズを買って試したが、繰り返し食べたいと思っているのはこのチーズだけだ。価格も100gあたり1ユーロ強である。
そして、これらのチーズは一般的にはワインと共に食するのが定番と言われているが、バイエルンでビールが美味しく、安く簡単に手に入るからと言う理由もあり、私は基本ビールとの組み合わせで食べている。私から言わせれば、この組み合わせは決して悪くない。一般的にも、あっさり系のチーズにはあっさり系のビール、濃厚タイプには濃厚タイプが合うとされており、決して邪道ではない。
特に私が先に上げたババリアブルーにバイエルンの白ビールを組み合わせるのは、私の中では定番である。バイエルンの白ビールで私が好んでよく飲むのはフランツィスカーナーか、シュナイダー・ヴァイセである。両者とも濃厚なタイプの味なので、悪い組み合わせではないかもしれない。ただ、かなり高カロリーになると思われるので、そこは注意が必要だろう。
今年はコロナ禍でもあり、なかなか外に出る事もままならない。せめて家で美味しいものでも食べて楽しく過ごしたいところでもある。個人的には日本の食事が一番だが、ドイツにもその気になれば美味しいものはあるので、気がついたら紹介したい。