ブンデスリーガ2018/2019の王者は、FCバイエルン・ミュンヘン

昨日は今シーズンのブンデスリーガ最終節が行われ、FCバイエルンが2012/2013シーズンから続く7連覇を達成した。今シーズンは前半戦終了時点でバイエルンがドルトムントの後塵を拝するという例年にない展開で非常にスリリングな優勝争いが期待され、事実優勝争いは今日の最終節までもつれ込んだ。

しかし、私としては最終的にFCバイエルンが優勝した事に安堵している。というのも、優勝争いの最大の山場となった後半戦の直接対決において、余りにも一方的な展開でバイエルンがドルトムントを蹂躙したからだ。私の中ではこれでドルトムントが優勝するなど「あってはならない」と思えるほど、絶望的な内容だったと言える。終わってみれば、バイエルンの勝ち点78、ドルトムントは勝ち点76の2ポイント差だった。

もっともこの僅差のポイントを見ての通り、バイエルンも総じて見れば明らかに年々弱体化しており、今年はチャンピオンズリーグも16強止まりだった。これは相手がリバプールだったと言う運の悪さもあるが、欧州のトップクラスからは既に脱落した感がある。長年チームを引っ張ってきたロッベン、リベリーの両ウィングは今シーズン限りでの退団が決定し、フンメルス、ボアテングのCBコンビもドイツ代表を外され来季は移籍か干されるかのどちらかだろう。

バイエルンには既に右SBにシュトゥットガルトからパヴァール、CBにはアトレティコ・マドリーからエルナンデスという2名のフランス代表選手の加入が決定的している。また退団するロッベン、リベリーの後釜にマンチェスターCからサネ、RBライプツィヒからヴェルナーと言ったドイツ代表組の獲得が噂されている。

更に最大の目玉として、アトレティコ・マドリーの退団が決定的な世界屈指の攻撃的MF、グリーズマンの獲得を目論んでいるとされる。グリーズマンを獲得すればかなりの戦力アップは間違いないが、これはライバルがFCバルセロナとなるので非常に厳しい。しかし、仮に獲得に成功した場合クラブのアイコンでもあるトーマス・ミュラーをどうするのか、厄介な問題が増えるかもしれない。

そして最も注目すべきは、ニコ・コバチが来季も監督の座に留まるかどうかという点だ。1年目という事で大目に見られる部分もあるかもしれないが、結果以上に今年のバイエルンは明らかに苦戦する試合が増えた。その守備的な戦術も批判に晒されており、その座は決して安泰ではない。一時コバチを解任し、前アーセナル監督のフランス人、アーセン・ヴェンゲルが就任するのではという噂があったが、これは多くのフランス人選手が所属する来シーズン十分あり得るように見える。

いずれにせよ、ブンデスリーガに制覇は当然の事、チャンピオンズリーグの優勝を争うチームに再び復活する為に、バイエルンは多くの変革を迫られる事になるだろう。

一方今シーズン2位となったボルシア・ドルトムントだが、前半戦見事な戦いを見せていただけに、後半戦の失速が惜しまれる。とりわけ、1月末にロイスが離脱した事が大きかった。逆に言えば、ロイス頼みのチームの限界を露呈したとも言えるかもしれない。また後半戦の大一番、バイエルンの首位決戦に絶望的な内容で惨敗した事を見ても、やはり若いチームが故の経験の少なさは致命的だった。

ドルトムントはこれまで好成績を残す度に翌シーズン有望な若手選手をビッグクラブに放出してきたが、今回はどうだろうか。今回注目の的になっているのは今シーズンブレイクしたサンチョであり、既にビッグクラブから引く手数多の状況だ。契約上来季もドルトムントに残留する事になっているが、もしも放出すれば戦力ダウンは免れない。一方で新加入としてドイツ代表左SB、ニコ・シュルツが決定しており、更にボルシアMGのアザールの加入が噂されている。

2位以下で個人的に注目に値するのは、シーズン終盤に驚異的な攻撃力をで4位に滑り込んだレヴァークーゼンだ。こちらもドイツ代表の若手であるブラントとハフェルツの残留に成功すれば来シーズン面白い存在になるだろう。この両者は是非チャンピオンズリーグの舞台を経験し、今後の大きな成長が期待される選手でもある。

逆に今シーズンの失敗チームとして挙げられるのがシャルケだ。昨シーズン新監督テデスコの下で2位に食い込んだが、今年は14位と低迷し下手をすれば降格圏内と言うところまで落ち込んだ。ネガティブなハイライトとして挙げられるのが、チャンピオンズリーグでマンチェスターCに0-7と言う歴史的惨敗を喫し、テデスコは解任された。状況から言って止むを得ない措置でもあるが、どんな有能と言われる監督でもシャルケで長続きした例は無い。

ひとまず今シーズンのブンデスリーガは終了したが、まだ国内タイトルとしてDFBポカールの決勝、バイエルンvsライプツィヒの試合が残されている。ドイツ屈指の戦術家ラルフ・ラングニック率いるライプツィヒは今年ブンデスリーガで3位に入り、バイエルンにとってもかなり厄介な相手になる。そしてこの試合の結果、内容はバイエルン監督ニコ・コバチの進退に関わってくるだろう。