本日はブンデスリーガ後半戦がスタートし、開幕でFCバイエルンがアウェイでTSGホッフェンハイムに苦しみながらも勝利した。とにかく、今シーズンは前半戦を終えてここ数年とは全く異なる興味深い展開になっているので、簡単に後半戦のプレビューを書いておきたい。
ドイツでは前半戦首位で折り返したチームは”Herbstmeister”=「秋の王者」と俗に呼ばれている。これまでこの「秋の王者」は7割の確率で最終的に優勝しており、昨シーズンまでは7季連続でバイエルンだった。バイエルンは2011/2012シーズンこそドルトムントに逆転を許したが、その後は圧倒的な強さで6連覇を果たしている。
更にバイエルンはその国内では圧倒的な資金力でライバルのチームから有望な選手を引き抜き、その独走状態に拍車をかけた。つまり自チームの強化と共に他チームの弱体化を同時に推進してきた訳である。バイエルン贔屓の私から見ても、全く面白くないブンデスリーガが6年も続いてきた訳だ。
しかし、今シーズン前半戦を首位で折り返したのはドルトムントだ。前半戦が終了した時点で、バイエルンは6ポイント差で2位に甘んじている。また両チームとも失点数(18)は同じだが、得点数(44:36)でドルトムントが勝っている。数字上差となっているのは攻撃力だ。
とりわけ、今年の前半戦のドルトムントのホームで行われた直接対決はまさにバイエルン1強時代が終わりを告げた試合だったと言える。バイエルンが前半試合を支配し常に先手を取る試合だったが、ドルトムントは圧倒的な攻撃力で後半に逆転勝利を収めた。結果だけでなく、最終的にバイエルンがドルトムントに内容でも完全に屈したと言える大一番であり、ドルトムントがタイトルを取れるだけの実力と自信を備えていることを窺わせた。
一方のバイエルンは既に高齢となったロッベン、リベリーの両ウィングはもとより、ミュラー、ボアテング、フンメルス、ノイアーといったドイツ代表の主力組の力が落ちている印象があるのは否めない。しかし、バイエルンが明らかにドルトムントに優っているのは、多くの修羅場を潜り抜けてきた経験値だろう。これはチャンピオンズリーグを含めて重要な試合が続く後半戦では大きなアドバンテージになり得る。
ロイスを中心に前半戦で圧倒的な攻撃力を見せたドルトムントの力に疑いの余地はないが、後半戦はやはりトータルでバイエルンが若干巻き返してくるのではないかと予想している。そして、今シーズンの優勝争いは終盤までかなり緊迫した展開になるのではないか。少なくとも、4月6日に行われるバイエルンのホームでの直接対決はかなり白熱した試合になる事を期待したい。
しかし、逆にもしもバイエルンが不甲斐ない内容でこれ以上ドルトムントとの差を広げられるようであれば、監督交代と言う荒療治に出る可能性は十分にある。というのも、バイエルンの後任監督には昨年の終わり頃からまさに適任と思われる名前が浮上してきた。
それは日本の名古屋グランパスでも指揮し、その後アーセナルで長期政権を築いたフランス人、アルセーヌ・ヴェンゲルだ。そのパスサッカーを志向するスタイル、アルザス出身であることからドイツ語も堪能で、スター選手の扱いにも慣れている。やや高齢な事が気がかりだが、本人も監督業への復帰を希望しており、十分にあり得る選択肢だと言えるだろう。