クリスマス・イブにドイツ人は何を食べているのか

本日はクリスマス・イブである。今日から始まるクリスマス連休は、言うまでもなくドイツ人にとって最も重要な祝日だ。多くの人々は家族と共に一年の労をねぎらい、団らんの時を過ごすだろう。そこでやはり重要なテーマとなって来るのが、この日の夕食を何にするかと言う事だ。私は一般ドイツ人家庭がこの日に何をしているのかまでは知らないが、特別な日に特別な食事があるのは国や文化を問わずどこでも共通だろう。イギリスの世論調査会社YouGovがこのドイツのクリスマスの食事について調査を行った模様だ。

アンケートは複数回答で、ベジタリアンを除く一般の人々にどんな肉や魚をクリスマス・イブに食べるか質問したものだ。そしてその結果によると、意外にもローストビーフやステーキで牛肉を食べると答えた人が36%で最も多かった。2位が31%で鴨肉、3位が29%でガチョウという結果になった。

我々日本人は欧米人はクリスマスにはチキンを食べるというイメージを持っているが、これの基になっているのはおそらく七面鳥の丸焼きから来るものだろう。ドイツならガチョウの丸焼きとなる。

これはドイツ語でも”Weihnachtsgans”=「クリスマスのガチョウ」という単語があるように、一般にドイツでクリスマスで食べられる典型的な料理はガチョウ、或いは鴨肉などだと思われていた。実際にホテルやレストランでは現在でもクリスマスのメニューではガチョウがダントツで一番人気だそうだ。

もっとも、クリスマスで外食をするドイツ人は少数派である。同じくYouGoVのアンケートによると、ドイツ人の43%がクリスマスに外食は絶対に行かないと回答、29%がおそらくしないと回答した。外食に「行くかもしれない」或いは「行く」と答えた人は13%だった。

そして、今回最も多くのドイツ人がクリスマスに食べるとしたローストビーフであるが、これは多分日本で食べられているローストビーフとはちょっと違う。日本では薄切りにしてサラダなどと一緒に出され、見た目も割とあっさりとした料理だ。

しかし、ドイツのローストビーフは”Rinderbraten”と呼ばれるかなりボリュームのある料理である。ステーキのような厚さに切られ、例によって濃厚なソースがかかっており、一般的にはクネーデルと赤カブが付け合わせとして一緒に食される。季節を問わず食べられる典型的なドイツ料理の一つだ。

文化学者によると、基本的にドイツで統一した形のクリスマス料理というのは存在せず、これまでも存在して来なかったとの事だ。これはドイツが元々異なる文化を持つ小さな領邦国家の集合体として出来上がった国であり、現在でも地方や家庭によって異なる伝統が存在するからだ。とはいえ、現在でもクリスマスでは何らかの伝統的な肉料理が主に食べられる事は変わりが無い模様だ。