鉄壁の守備を見せたFCバイエルン、アウェイの1stレグを無失点で切り抜ける(CL16強リバプール戦)

この試合についてまず言及したいのはバイエルンの戦術だ。バイエルンはこれまで過去数年間、鮮やかなコンビネーションを駆使した攻撃サッカーがそのトレードマークあり、これはあのレアル・マドリードが相手でも変わる事はなかった。

しかし今回、相手が格上である事を自覚したバイエルンは自らのスタイルを捨て、徹底的に相手の良さを消す戦術戦を遂行した。強敵相手のアウェイ1stレグであり、まず無失点で切り抜ける事が重要なのはもちろんだが、ここまで守備に重点を置いたバイエルンはここ数年は見る事のなかった姿だ。前半の殆どを見ていないので恐縮だが、ハイライトや試合後のコメントを聞く限り、バイエルンはこの戦術戦を完璧に遂行したと言えるだろう。

そして、この試合こそ低迷するフランクフルトをブンデスリーガ上位に押し上げたニコ・コバチの面目躍如といったところだ。バイエルンというビッグクラブを指揮する上でその手腕に疑問の声も多く聞かれたが、コバチにはこれまでの大物監督とは異なる部分で強みがある事が確認できた。

そしてこの戦術でバイエルンにとって極めて需要なパーツになったのが、この日中盤の底で先発したハビ・マルティネスだ。30歳となり衰えの見えるマルティネスは既にチームで定位置を失っており、多くの人はこの試合を怪我で欠場したゴレツカの代役としか見ていなかった。

しかし、このマルティネスこそがこの試合のMOMだったと言えるだろう。マルティネスはその的確なポジショニングで「危ないところには常に存在する」と言えるほど、そのスペースを巧みに消し、更にその屈強な体格を活かしてリバプールの猛攻を身体を張って防いだ。

更にこのマルティネスに続きこの試合でその存在価値を再び知らしめたのがマッツ・フンメルスだろう。フンメルスも衰えが指摘されており、昨年最もその価値を落とした選手の1人と認識されていた。

しかし、この左CBで先発したフンメルスもこの日はフィールドプレーヤー最後の砦としてリバプールに立ちはだかった。とりわけ、左サイドでモハメド・サラーを見張っていたアラバをフンメルスは完璧なポジショニングでサポートした。DFながら元々そのパスセンスには定評があるが、攻撃に色気を出さず守備に専念させればまだ十分に最高峰のレベルでも通用する事が明らかになった。

チーム全体で言っても、とにかく屈強なプレミアリーグのフィジカルにバイエルンが屈しなかったのが大きい。同じブンデスリーガ勢でもドルトムントはここで完全にトッテナムに凌駕され将棋倒しで崩れたが、やはりバイエルンは同じような状況で何が必要なのか十分に把握した上で試合に臨み、そして実行した。これこそ経験の差だといえるだろう。

更に指摘しておきたいのは、バイエルンの選手はリバプールのゲーゲンプレッシングを巧みに切り抜ける足元の技術に長けていた事だ。この点でやはりGKにノイアーが復帰してきたことは極めて大きい。ノイアーはこの試合、明らかに手よりも足を使う場面が多かったが、そのパスの大半は長いボールでもしっかりと見方を目掛けてキックされており、全く不安を感じさせなかった。

そして、2週間後に行われるホームでの2ndレグであるが、バイエルンはキミッヒが累積警告で出場停止となる。一方でミュラー、ゴレツカが復帰する見込みだ。(※訂正 : ミュラーは2ndレグも出場停止)。この試合はもちろんバイエルンは守備だけでなく得点を奪う事を求められる。この日出色の出来だったマルティネスを再び先発させるのか、まずはニコ・コバチがどのようなメンバー、戦術で臨んでくるのか、極めて注目される。

期待薄と思っていたバイエルンだったが、腐ってもバイエルン、その力は決して侮れない事をまずは1stレグで証明したと言って良いだろう。