水曜日に注目のCL16強1stレグ、ドルトムントvsトッテナムがロンドンのウェンブリースタジアムで行われた。ブンデスリーガの首位とプレミアリーグの3位の対戦であるが、両リーグのレベルの差を考慮すればトッテナムの有利は動かない。大黒柱のロイスを欠くドルトムントは是が非でもこのアウェイの初戦を最少失点で切り抜けて、ホームに望みを繋ぎたいところだ。トッテナムもエースのケインを欠いており、これは決して不可能なミッションではない。
試合開始直後はやはり予想通りホームのトッテナムが攻勢をかける。イングランドらしいフィジカルの強さを活かした縦に速い攻めでドルトムントを自陣に釘付けにした。しかし、7分にモウラが際どいボレーシュートを放った以外は、ドルトムントは落ち着いてこの攻勢を切り抜けた。徐々にトッテナムの攻めを掌握したドルトムントは中盤高い位置でボールを奪い始め逆襲に転じる。
ドルトムントは15分以降とりわけ右FWサンチョのスピードを活かしたショートカウンターでトッテナムのゴールを脅かした。予想外のアウェイゴールさえ期待できる展開である。トッテナムは36分にソンが左サイドからドルトムントゴールを脅かすが、全体的に言えばドルトムントが優勢の展開だ。前半は両チーム無得点で終了した。
しかし、この予想外の健闘を見せていたドルトムントだが、後半開始早々取り返しのつかないミスで失点する。自陣左サイド深くでボールを受けた左SBハキムは、トッテナムのゲーゲンプレッシングに無謀なドリブル突破を試みボールを奪われる。トッテナムはすかさずガラ空きの中央にクロスを放り込み、これをソンが冷静にボレーで決めた。
それまでの展開を考えれば本当にガックリくるような失点だが、ドルトムントは焦る必要はない。アウェイで0-1と言うスコアは決して理想的では無いが、ホームの2ndレグでまだ逆転可能だ。少なくとも前半だけを見ればドルトムントはトッテナムと十分に戦える事が分かった筈だ。
しかし、ドルトムントはここから完全に落ち着きを失い、中盤でボールロストを繰り返してはトッテナムの逆襲を食らう。後半は完全にトッテナムのペースとなり、更なる失点は時間の問題とさえ見える展開となった。そして、83分に痛恨の2失点目を喫する事になる。更にこれで集中力が切れたドルトムントは86分にコーナーキックから3点目を許し、事実上CLの敗退が決定的となった。
ドルトムントは前半が非常に良い出来だった為に非常に悔やまれる惨敗となった。これもやはり若いチームが故の脆さなのかもしれない。とりわけ、後半開始早々の凡ミスで先制点を献上したのは致命的だったと言えるだろう。
更にドルトムントGKビュルキが試合後のインタビューで述べていたが、フィジカルの強さでトッテナムはドルトムントを完全に凌駕していた。この日出色の出来だったソン・フンミンなど、もはやアジア人の体格ではない。後半ドルトムントの選手はトッテナムの激しく、かつフェアな守備に簡単に倒され、相手陣内にまともにボールさえ運べなくなった。
トッテナムは決して対抗出来ないような強敵には見えなかっただけに、1stレグで事実上勝負が決してしまったのは残念と言うほか無い。ロイスが帰ってくればドルトムントはまた別のチームになる。
しかし一方で、ブンデスリーガの首位がプレミアリーグの3位に0-3で惨敗するという現実は、やはり両リーグのレベルの差を如実に表しているとも言えるだろう。来週はFCバイエルンがリバプールと対戦するが、これはFCバイエルンにとって間違いなく極めて厳しい戦いになる。今年ブンデスリーガ勢のCLは16強で全て終了する事は覚悟しておかねばなるまい。