CL16強 : FCバイエルン、パリSGにアウェイで貴重な勝利を挙げる

昨日はチャンピオンズリーグ16強FCバイエルン対パリSGの試合を観戦したので感想を記しておく。今期のバイエルンはブンデスリーガで例年のような無双の強さを発揮していないが、CLではバルセロナ、インテルなどの名門を尻目に全勝でグループリーグを突破した。

一方のパリSGは怪物ムバッペに加え、メッシ、ネイマール、ラモスといった、かつてFCバイエルンに煮湯を飲ませてきたベテランのスターが名を連ねる。もっとも、ムバッペは何の所為か知らないがこの日はベンチスタートである。

試合の構図は明白である。ボールを保持しながらチャンスを窺うバイエルンに対し、パリSGは先ずは守備から入り、ボールを奪えばネイマール、メッシを軸にしたカウンターで対抗する。

序盤数分こそバイエルンがチャンスを得たが、その攻撃を掌握したパリSGは中央をしっかりと固め、試合は直ぐに膠着状態になった。パリSGは2列目中央のムジアラを徹底的にマークし、バイエルンの攻めをサイドに押しやる。バイエルンは最終的にサイドから中央のシュポモティングにクロスを送るが、難なくクリアされる展開が続く。

ただ一方のパリSGも全くと言って良いほどカウンターが機能せず、バイエルンの集中した守備に全くシュートまで持ち込めない。両チームの守り合いと言った展開である。35分を過ぎると徐々にバイエルンがペースを掴み始めるものの、前半は0-0で終了した。

後半は若干オープンな展開になったが、概ね前半と同じ構図である。しかし53分バイエルンは左サイドからのクロスをコマンがボレーシュートを放ち、これがGKドンナルンマの脇を抜けてラッキーな先制点を挙げる。

その後もバイエルンは試合をコントロールするかに見えたが、パリSGは57分に満を持してムバッペを投入する。バイエルンは暫くは試合をコントロールする事に成功し、追加点のチャンスを得たが、ムバッペが徐々に試合勘を取り戻してきたのか形勢逆転の様相を呈してきた。

そして74分、そのムバッペが左サイドをぶっちぎりフリーでシュートを放ち、これはGKのゾマーが超スーパセーブで防ぐ。更にこぼれ球を押し込まれたが、これもオフサイドで切り抜けた。

更には82分、パリSGはネイマールのスルーパスから再び左サイドを切り裂き、中央から飛び込んできたムバッペがネットを揺らすが、ほんの僅かなオフサイドがビデオで判明しゴールは取り消しとなった。これはもはやラッキーとしか言いようがない。

試合終了間際はパヴァールが2枚目のイエローで退場するというアップアップの状態ながら、バイエルンはなんとか逃げ切る事に成功し、アウェイで貴重な勝利を挙げた。

総じて見れば試合の殆どの時間帯はバイエルンが掌握していたものの、ムバッペが始めから出ていれば全く違う展開になっていただろう。またかつての屈強さや得点力は無いものの、セルジオ・ラモスのツボを心得た老練な守備はさすがと言う他ない。

おそらく、バイエルンでこの日の最大の殊勲者はムバッペの決定的なシュートを超スーパーセーブしたGKヤン・ゾマーではないか。それまで全くと言って良いほどセーブ機会がなかったにも関わらず、突如としてやってきた大ピンチを救ったのは見事だった。

バイエルンはさすがにFWレヴァンドフスキが抜けたとあって攻撃の迫力は落ちているものの、堅実な3バックで前半から後半中盤までパリSGに殆どシュートまで持ち込ませなかった守備は評価出来る。現実を見据えたナーゲルスマンは非常に良い仕事をしているのではないか。