自動車から鉄道、カーボンプライジング、石油暖房の禁止 : ドイツの新たな地球温暖化対策

昨年からのドイツ政治おける最大のテーマは文句なしで地球温暖化問題である。これは昨年の記録的な夏の暑さが人々の心理に大きな影響を与えのは間違いないが、北極の氷が溶け、アマゾンの熱帯雨林が燃え盛っている事実を目の当たりにすれば、それは人間にとって深刻な事態になる事は多くの人が自覚している。最近はドイツでも若者によるデモ活動、”Fridays for future”が大規模に展開されている。

もっとも、現実はそんなに簡単ではないのも事実だ。誰も急に電気自動車は買えないし、エネルギー効率の良い家に改築したりは出来ない。そんな事をすれば、それこそ大多数の生活が破綻する。かといって、一部のモラルの高い金持ちだけエコな生活を実践してもそれは焼け石に水である。

問題は、地球環境に優しい生活は高くて不便、逆に害のある生活は安くて便利な事だ。そして、ドイツはこれを地で行くルールを構築してきた。褐炭の発電や自動車の利用を促進、特にディーゼル車の助成。更に飛行機は場合によっては鉄道よりも安くなり、そのドイツ鉄道は知っての通り遅延欠便の連発で全く信用できない。これでは大多数の人間が、環境に悪い行動を選択せざるを得ない。

そして、この状況を変えるべく、ドイツ政権はこの程通称”Klimapalet”呼ばれる、地球温暖化抑制の為の新たな規制、ルールを可決した。これは我々の今後の生活にも大きな影響を及ぼす政策である事は間違いないので、ざっと見ておきたい。

まずは、2021年からスタートするカーボンプライジングである。具体的には、ガソリン、ディーゼル、暖房用の石油、天然ガスから排出された二酸化炭素1トンあたり10ユーロが課金される。価格は2025年までに段階的に1トン35ユーロまで上昇する。これらは我々消費者が直接支払う訳ではないが、ガソリンやディーゼルの価格上昇と言う形で転嫁される。

交通分野では鉄道の利用において税率が19%から7%に軽減され、鉄道の利用が促進される。また、40,000ユーロ以下の電気自動車の購入の際にはこれまでよりも大きな助成金が歳出され、車両税の価格もいっそう二酸化炭素の排出量が反映されたものになる。

しかしその一方で、2026年まで遠方からの通勤者を税制上若干優遇する措置も打ち出した。これは事実上、車の利用者を保護する事にもなるのだが、これは田舎に住む低所得層を保護する意図があるだろう。また、車から鉄道への移行が進めば益々の都市部に住む人が増えて不動産価格が高騰するので、それを防ぐ目的もあると思われる。

建設分野においても、エネルギー効率の良い新たな暖房システムへの交換に最大40%の助成金が出る。そして2026年以降は石油による暖房は禁止される。

ドイツは2030年の目標として温室効果ガスの量を1990年と比較して55%以下に減らす事を課されており、今回の新たなルールはこの目標達成を意図したものだ。しかし、この目標達成の為にはまだ生ぬるいと言われており、昨今の風潮もあってかかなり批判されている。

確かに、ガソリンやディーゼルが高くなるといっても、それはたったの3セントで、更に車利用者を優遇する措置もある。鉄道を利用しろと言われても、ドイツ鉄道のレベルの低さでは使うのは難しい。しかし、現在の庶民の生活を破綻させない為にも、いきなり厳しい規制やルール変更は避けた方が無難だ。もっとも、今後10年間の間で現在当たり前の生活習慣は確実に高くなる。ライフスタイルの大幅な変更を余儀なくされるのは間違いない。