国が実施した新型コロナ対策で、最も効果のある措置は何か

16日から実施されるシャットダウン措置により、少なくとも私の身の回りに関しては見るからに人出は減った。しかしながら、我々が数字でその効果を把握できるのはおよそ2週間後と言われており、確認された感染者数は今のところ7日間平均で25000人と右肩上がりを続けている。ドイツも日本同様、曜日によって確認数に著しい隔たりがあるので、絶対値に関しては7日間平均で報道されるのが普通である。

ともかくワクチン接種も27日からスタートし、このシャットダウン措置と合わせて医療状況が改善する事を期待したい。特に新たな感染者数が増え続ける限り、状況をコントロールする事は不可能である。

しかし、これまで各国ともこの新型コロナ感染拡大を阻止するために、我々市民生活を制限する数々の施策を施してきた。一口にロックダウンやシャットダウンと言っても様々なルールがある。一体どの措置が最も効果があるのか、様々な研究機関が調査を続けている。ZDFによると、その結果をこの程オックスフォード大学の国際研究グループが学術雑誌”science”で発表した。

それによると第一波のコロナ対策で最も効果があったのは「学校の閉鎖」と「10人以上の集会の禁止」だそうだ。この措置で実効再生産数「R」は35%以上減少したとされる。逆にあまり効果が無いとされたのが、レストラン、ナイトクラブ、映画館、フィットネススタジオの閉鎖とされる。

この中でも「学校の閉鎖」に関してはドイツのカールスルーエ工科大学でも同様の結果が出ている。同大学はウィキペディアによると、ドイツ最古であり、工学系では最も評価が高い。それによると、学校を早く閉めれば閉めるほど、感染者の減少が顕著であり、仮に春先のドイツで学校の閉鎖が1日遅れていれば、12万5千件の感染増加、更に1週間遅れていれば、40万の増加があったとされる。

もちろん、これは数ある調査のうちの一部であり、逆に学校の閉鎖はあまり効果がないと結論づける調査も存在するそうだ。しかし、これらは世界的にも権威のある機関の調査結果であり、最近流行りの陰謀論や人々の単なる都市伝説とは異なる。

確か日本は春先にいきなり学校を閉める措置を行ったと記憶しているが、この調査結果によると当時まさに正しい措置を行ったという事になる。同様にドイツも春先には真っ先に学校を閉めた。その成果かどうかは知らないが、その後はロックダウンで劇的に感染者数は減った。

逆に11月、ドイツはレストランや映画館を閉め、学校と保育所は開けたままにした。つまり、オックスフォードの調査で言う、あまり効果の無い措置を行い、最も効果のある措置を行わなかった事になる。結果として11月は感染者数は減る事はなく、12月には一部締め付けを強化したにも関わらず、感染者は更に爆発的に増えた。やっと学校が閉まったのは先週の水曜日、シャットダウン措置が施行されてからである。

一方のヨーロッパのドイツ周辺の国は11月のロックダウンで大幅に数を減らすことに成功しており、その中では学校を開けたままにしていた国もある。しかし、開けたままと言っても、自由登校かもしれないし、学年を限定したり、隔週登校とかの措置があったかもしれない。個人的には学校の閉鎖が感染拡大を防ぐ決定的な措置となっている可能性は十分にあると思われる。

ただオックスフォードもカールスルーエも言うように、これらの調査結果は絶対的なものではない。つまり、国が実施するコロナ対策が現地で実際にどのように施行されたか場所によって大きな違いがある上に、現地の人々がそれらの措置をどの程度遵守したかも異なるからだ。コロナ禍はまだまだ続く模様なので、今後の更に詳しい調査も待たれるところだろう。