ドイツでコロナ対策の禁止事項を破った場合、罰金は最大で300万円

私から言わせれば、ドイツ人はルールを作ることを大の得意としている。基本どのような場面で、何が認められているか、どのようなペナルティが課されるのかキッチリと定義する。一方で、ルールを作る段階で重箱の隅を突ついて袋小路に陥るような事はしないので、押し並べて素早く、シンプルで実効性の高いルールが出来る。この点に関しては学ぶ点も多いのではないかと思う。

そして今回の新型コロナ危機に際してドイツは内容もそうだが、ざっと見る限りすべての州が罰則に関しても非常に厳しいルールを作っている。例えば、ノルトライン・ヴェストファーレン州首相のラシェットに言わせれば、「罰金は最大25000ユーロ(約300万円)、容赦なし」で実施すると述べている。

実際にそのノルトライン・ヴェストファーレン州の罰金カタログを見ると、常習犯に対しては最大25000ユーロの罰金が課される可能性があるとはっきり記してある。ほかにも、ピクニックやバーベキューは250ユーロ(約3万円)、病院や老人ホームへの訪問、3名以上での会合や、テイクアウトで取りに行った食事を店の半径50メートル以内で食べた場合は200ユーロ(約2万4千円)、イベントや集会に参加した場合は400ユーロ(約4万8千円)の罰金となる。再犯者にはこの2倍の金額が課される。

一方私の住むバイエルン州であるが、まずバイエルン及び一部の州の独自のルールである「正当な理由なしに家を出てはならない」というルールを破った場合は150ユーロ(約1万8千円)の罰金、ドイツ全土で定められている対人距離1,5メートルが保たれていない場合にも150ユーロの罰金である。その他個人が該当する項目に関しては、概ね500ユーロ(約6万円)の罰金となっており、やはり他州に比べて高めの金額が設定してあるという印象である。

上記は主に一般個人が比較的犯しやすい違反を取り上げたが、経営者や組織などが違法に店を営業する、或いはイベントなどを開催した場合、概ね最大5000ユーロ(約60万円)の罰金が課される。

基本ドイツの場合、このようなルールを一度設定した場合、それは脅しなどではなく有無を言わさず実行するので、甘く見ないことだ。うっかりルールを破ってしまった場合理由を述べる必要があるが、ほぼどんな抗弁も無駄になる。ただ謝罪したら逆に確信犯を疑われるので、よくよく注意されたい。今日も近くの公園にちょっと運動しに出たが、警察がしっかりと目を光らせていた。尚、バイエルンは十分に広い場所であれば、個人でのスポーツや散歩は許可されている。

もっとも、私は今回の新型コロナに関しては、断固かつ強硬なルールを設定し、破った者に対してしっかりと罰則を与える存在がある事を有難く思っている。日本のように「自粛」であれば、もちろん罰金はない。しかし、適切な行動が出来ずに公になってしまった一部の人は、自己責任だから逆に世間から袋叩きにされる。そして、それは殆ど常軌を逸している。

普通の人なら、誰一人として他人を感染させたくない一方で、普段の生活を失いたくない。店や企業はこんな時期だからこそ少しでも成果を出して、生き延びたいと考えている。この時期に人生を懸ける、社運を賭けるプロジェクトを控えていた人もいただろう。日本はその上世界的に見ても異常に少ない検査数で、国民に間違った安心感を与えてきた。この状況で皆が適切な判断ができること自体に無理がある。

責められるべきは、「自粛」という形で国民に責任を転嫁している国の方だ。日本人にはそぐわないかもしれないが、今回ばかりは「補償するから人と会うのは禁止、破ったら容赦なく罰金」というドイツ式が良いと思っている。これ程までに国の存在、その影響が大きいものか、実感している日々はないと言っておきたい。