すっかり寒くなり雨がちの天気が増えてきたが、予想通り新型コロナが再びドイツ全土で猛威を振るい始めている。これまでおよそ1日平均2000人前後だった新規感染者数は、今週の後半から一気に4000人を超えるようになり、ロベルト・コッホ研究所の最新の情報では4700人/日の新規感染者が確認されている。
3月末から4月のロックダウン時にかけては、ピーク時でおよそ1日およそ6000人の新規感染者が確認されたが、これに迫る勢いだと言える。更に現在の再生産数「R」は1,34であり、これから冬に向けて新規感染者数はまだまだ増える。
隣国のフランス、オーストリア、オランダなどは既にロックダウン時よりも多くの新規感染者が確認されている。更にこれまで感染者数が少ないとされてきたポーランド、チェコ、ハンガリーなどの東欧諸国も一気に増えてきた。
尚、ドイツのテスト数は既に週に100万件を超えているので、新規感染者数の増加は単にテストが増えた事にもよる。確かに、4月のロックダウン時に最大10%まであった陽性率は10月初めの時点では1,6%に下がっている。しかし、最近ではテスト数の推移が横ばいなのに対して、新規感染者数が増えているので、これを見ても感染は再び拡大傾向だと言える。
地域別の状況では、以前にも紹介したように7日平均人口10万人あたり50人以上の感染者が確認された場合、いわゆる危険地域とみなされルールが厳しくなる。最初にこの数値を超えた大都市ミュンヘンだったが、現在ではベルリン、フランクフルト、ケルンといった大都市もこの基準値を超えた。
対策は例によって州ごとに若干の違いがあるが、概ね夜間のアルコール禁止、マスク着用の強化、パーティなどの参加人数制限などとなる。このうちベルリンとフランクフルトは23〜6時まではドイツ語で言う”Sperrstunde”となり、店などは全て閉めなければならない。つまり、夜間の人出は劇的に減ると思われるので、この時間帯はほぼロックダウン状態に近くなる。
尚、私の住むミュンヘンは新たなルールが功を奏したのか現在では先の基準値を僅かに下回っているが、再び超えるのは時間の問題だろう。
今後はこの数値を超える自治体が続出すると思われるので、ドイツ全土で局地的に厳しいコロナルールの地域が乱立する可能性がある。それを避ける為にも、再び全土で統一したルールが必要になってくる事は間違いない。
現在ドイツ全体では7日間平均10万人あたり26人の新規感染者となっているが、これが先の50人を超えるような状況になれば、再度のロックダウンもテーマになる可能性がある。現在では若年層の感染が主体であり、重傷者数や死亡者数に関してはまだ数値は低いが、これらの指標は今後上昇していく。今年はクリスマス、正月も例年とは全く異なる雰囲気になる事は間違いないだろう。