ドイツ政府と州、新型コロナ規制の出口戦略を発表する

既に知っての通り、ドイツは先月からおよそ1ヶ月間新型コロナ対策として原則的に他者との「接触禁止」が住民に課されているが、この効果は最近になって数字に如実に現れてきた。ここまで確認された感染者数は合計およそ133500人だが、既にそのうち半分以上となる77000人が回復した。感染拡大期間に重視された”Verdoppelungszeit”=「感染者が2倍に増えた期間」も既に目標の14日を大きく超えた。

大きな不安の中で突入したロックダウン生活だったが、ひとまず感染の爆発的な増加は食い止めている状況にまで持ち込んだ。また、これまで積極的にテストを行う事で感染状況の実態を把握し、懸念されていた医療崩壊を避けている事は一定の評価をして良いと思っている。

しかし、だからと言ってこのままで良い訳ではない。感染拡大を抑えている現在において最大のテーマは、いつ、どのようにして以前の自由な生活を取り戻すかと言う点だ。有無を言わさない電光石火の速さで決定されたロックダウンへの入口戦略とは異なり、この出口戦略に関しては細心の注意と慎重さが求められ、いつ、どこから、どの程度規制を緩めるか、さまざまな方面から意見が飛び交った。

そして水曜日、首相のメルケル及び、バイエルン首相のゼーダー、ハンブルク市長のツシェンシャー、副首相のショルツが会見し、この出口戦略が発表された。ドイツの新型コロナ対策は、単に命を優先する段階から、ウィルスと共存しながら経済活動を再開させる新たな段階に突入しつつある。

この中で最も大きな緩和は、来週から大きさが800平方メートルまで店舗での営業が再び許可された点及び、マスク(鼻と口を覆うもの)の装着が公式に政府から「要請」された点であろう。

それ以外は、基本的にこれまで課されていた社会的距離1,5mは継続、家族や同居人以外で3人以上の会合も引き続き禁止。学校、保育所は5月初めまで閉鎖、大規模イベントも8月末まで禁止となった。レストランの営業も引き続き許可されていない。政府と各州は2週間後に再び会合し、その先の戦略を決める。

尚、私の住むバイエルン州に関しては依然として認められた理由以外に外出してはならない「外出制限」が課されており、これは5月3日まで継続される。また、多くの店の営業や学校などの開始も一週間ほどドイツの他の地域よりも遅くなり、やはり若干だが厳しめの措置が取られている。ウィルスの震源地であるイタリアに近く、ドイツの中では最も被害を被った州である事が最も大きな理由だ。

ドイツが感染対策として最も重要視しているのは間違いなく社会的距離だ。しかし、店の中、或いは公共の交通機関などで常にこれを保つ事が難しい場面もあるので、マスクの着用でそれを補完するものと理解している。自国の習慣に無くとも、感染防止の為に他国を手本にしたのは良い事だと思っている。

また、マスクについては義務化も囁かれたが、そうすると唯でさえ少ないマスクを買おう人々が殺到する可能性がある為、現段階では「要請」で構わないと思っている。最近はドイツでも明らかにマスクをつけた人を多く見かけるようになったので、社会におけるこの要請へ対する受け入れは醸成されつつある。但し、もしもこの要請に効果が無いようで有れば、ドイツは容赦なく罰則をつけた義務化に舵を切るだろう。

来週から多くの店が営業再開を許可された事で人出は間違いなく増えるが、個人的に若干疑問に思ったのは800平方メートルまでの大きさの店舗、つまり小さな店が優先的に営業再開が許可された点だ。対策の柱にしている社会的距離に関して言えば、小さな店の方がこの実践は難しい。営業が許可されるといっても極めて難しい店舗内管理が求められるので、この辺りは警察も店舗側が然るべき感染症対策を行っているのか、しっかり取り締まってほしい。

今回、若干ながら規制が緩和される状況になった事は歓迎すべき事だろう。しかし、メルケルはこれを”zerbrechlicher Zwischenerfolg”、と述べ、これは「壊れやすい、一時的な成功」とでも訳せるかもしれない。逆に今回の緩和で再び感染が拡大し、また振り出しに戻ってしまう事だけは絶対に避けなければならない。

これまでは国の命令で殆ど家に閉じこもっているだけだったので、ある意味何も難しくはなかった。しかし、今後も引き続き感染拡大が抑制されるかは、徐々に国民ひとりひとりの努力に委ねられていく事になる。まだまだ長期戦になるのは間違いない情勢なので、今後どう転ぶかは全くわからない。

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