ドイツ新型コロナ第二波における現状と対策はどうなってるのか

ここに来てドイツでも新型コロナの新規感染者が増えているので、少し状況及び対策をまとめておきたい。まず最近の新規感染者数であるが、7日間平均数値でおよそ670人となっており、緩やかな上昇傾向を見せている。ロベルトコッホ研究所も最近この増加傾向に大きな懸念を表明した。

もっとも、1日最大6千人以上が新たに感染していた4月のピーク時に比べれば、現時点の数値は遥かに少ない。引き続き予断を許さない状況である事は確かだが、第2波が来たと呼べる状況ではなく、ましてや国単位での再度のロックダウンがテーマに上るような状況では全くない。

また、指摘しておきたいのは、ロベルト・コッホ研究所のデータによると、ドイツのコロナ検査数は7月に入ってから週に50万件を超えており、その陽性率は0,6〜0,8%である。この検査はもちろん、新規感染のみを対象とした検査数ではないが、ピーク時におよそ9%もあった陽性率は激減している。故に今後も感染者が増加傾向にあったとしても、4月のような指数関数的に感染者が爆発するリスクは少ないと考えている。

更に昨日からはバカンスなどで外国から帰国して来た人には無料でのテストが可能になる。帰国後3日以内に電話で予約し、テストの結果は2日以内に出るとされる。これは強制ではないが、もはや症状の有無に関わらず徹底的にテストを実施する方針である事が窺える。

ところで、一部では「テストをしても意味がない」的な意見も日本では聞かれるようだが、そもそも現状を正しく把握しない事には対策も立てられない。生活習慣や文化の違いから日本に比べれば確かにマスク装着率や、ソーシャル・ディスタンスを遵守度も低いかもしれないが、ドイツは早い段階で検査と隔離を徹底的に実施するシステムを確立した事で、現在市中に隠れ感染者が徘徊している割合は間違いなく低い。

徹底的な検査と隔離は経済活動を継続していく上での大前提であり、これがなければ、コロナアプリやマスクなどの対策も大した効果は期待できない。アプリは検査をした上で自らが感染した旨を登録する事が前提になるし、マスクは他人を守るもので、自分を守れるものではない。ましてや検査を軽視し、「民度」などという意味不明な基準で新型コロナをコントロールしているという一部主張に私は著しい抵抗があると言っておく。

更に今後の感染拡大を防ぐ上で今一度徹底すべきとされているのが、AHAのルールである。AHAとはA=Abstand(距離)、H=Hygiene(衛生)、A=Alltagsmasken(マスク)の頭文字を採ったものであり、目新しいものでは全くない。特に距離に関しては状況によっては完全に確保できない場合もあるし、これを完全に取締る事など不可能であるが、これは各自が可能な限り意識して行動しなければならない。

このようなストレスの溜まる日常から脱却するために、一刻も早いワクチンの完成が望まれるところであるが、最近のニュースによると早くても来年の中頃になるとの事だ。それまでは愚直に検査と隔離を徹底し、各自が先のAHAルールを守っていく必要がある。

2度目のロックダウンなどはあってはならないし、そのような事態になれば国民生活は間違いなく破綻する。ただし、この間のテニエス工場の集団感染による局地的なロックダウンはあったとしても、全体的に見れば過度に悲観するような状況では無い。少なくともドイツ全土での2度目のロックダウンは無いという前提でいる。