現在のドイツの新型コロナ新規感染者数は7日間平均でおよそ8000人となっており、このところ下げ止まり感、或いは若干の上昇傾向がある。これは、感染力が強いと言われる変異株のせいかもしれないし、今週から学校や保育所が開いたからかもしれない。ただ学校が開く前より下げ止まりの傾向は出ていたので、単に現在のロックダウン措置の限界に達しているのかもしれない。
期待されたワクチン接種の進捗も相変わらず鈍重で、1回目の接種率は未だに人口の4,7%である。特にアストラゼネカのワクチンは殆ど使われずに放置されているらしく、大いに問題視されている。確かにドイツはアストラゼネカのワクチンを65歳以上には推奨していないが、ワクチン配送が来ないとか散々文句を言いながら、来た量の殆どを使っていないなど、一体どう言う事か、批判されても仕方がない。
もはや国民のコロナ疲れも限界に達しており、さすがにロックダウン解除を求める声も大きくなってきた。しかし最もやってはならないのは、解除、ロックダウンの繰り返しである。最近では若干の上昇傾向が出てきた為、一部では第三波の前触れだという声もあり、安易なロックダウンの解除は危険である。
しかしそんな中、敢えてロックダウン解除の希望の光を見出すとすれば、我々素人も利用できる新型コロナのセルフ検査キットが承認されたと言う事だろう。まず承認されたのは3つのキットであり、これらは例によって鼻から綿棒を入れる抗原検査である。しかし、この新たな検査キットでは棒を鼻から奥深くまで入れる必要はなく、我々素人でも簡単に正しく検査を実施出来るらしい。結果は15から30分ぐらいで出る。
これは近々3月中にスーパーや薬局で登場するとのことだが、仮にその触れ込み通り実現すれば、ロックダウン解除の大きな追い風になる事は間違いない。つまり、仮にロックダウンが解除されても外出する前に定期的に自分で検査をする事によって、陽性ならば自宅に留まり誰かに移す確率は劇的に低下する。少なくとも、これまでのように熱だけ測って外出するよりは遥かにウィルスが拡散する確率は低くなる。
ここで気になるのが、この検査の精度だと言うことだろうが、これはもちろん断定的、確定的なものではない。陽性が出た場合でも確認のために再度PCR検査を受ける必要があり、陰性であってもマスクやソーシャルディスタンスは必須である。しかし、全ての無症状感染者を拾い出すことは出来なくとも、他人に移すほど多くのウィルスを保持している人はかなりの確率で拾い出せる。
気になるのは価格がどの程度になるかで、予想では1回10ユーロ程度になるという声がある。ならば庶民が何度も利用する訳にはいかないだろう。ここでは当然国が一部負担する可能性もあるが、今のところはまだ不明である。
ただ並行して薬局などで専門の試験官による抗原検査が行われる予定になっており、これは無料である。健康相イェンス・シュパーンはこれを3月1日から開始すると宣言し、結局実行できず批判に晒されているが、今月中には確実に来る。
因みにオーストリアでは既にこの手のテストが2月8日より学校で実施されているが、現在までおよそ1500件の陽性者が最終的に判明したらしい。これは来週からバイエルン州でも同様に実施されることになっており、仮に同様の事をドイツ全土で行えば、相当数の感染者が炙り出されるだろう。これらのセルフ検査で陽性が出た場合、当然ながら即座に隔離措置が取られる。
日本では何故か検査を拡充する事に色々と反対意見が多いようだが、個人的にはそのような議論があること自体が不思議で、集団免疫が確立しない限り、徹底的なテストと隔離は必須だと思っている。来週の水曜日に再び今後のプランが発表され、ここで今日挙げた自宅でのセルフ検査、薬局などでの無料の抗原検査について詳しいことが発表される筈である。