ドイツのコロナ対策の良し悪しは、数字だけで判断できない

日本のメディアを読む限り、ドイツの新型コロナ対策は概ね上手くいっているとみなされている。それは一番に、積極的にテストを行いながら、他国に比べて死亡者数を比較的低く抑えている事がもっとも大きな理由だろう。しかし、個人的にはこれらの数字は参考にはなるが、盲信するべきではないと考えている。そもそも、国によってこれらの数字の基準はまちまちなので単純に比較などできない。

まず感染者数は言うまでもなくテスト数などに左右される。ドイツは週に50万件テストしていると言われているが、この数字はドイツ政府のアドバイザーであるウィルス学者、クリスティアン・ドロステンがあくまで3月末ごろの時点で「推測」として挙げたものである。

確かにこの数字は政府監督下のロベルト・コッホ研究所の公式発表から見て妥当だと思われ、諸外国に比べても多いとされる。しかし、逆に言えば、これで多くの感染者が確認されて分母が増えるので、ドイツの新型コロナの死亡率は低くなる。テスト数に関して言えば、数は今後更に増える。

では、一方の死亡者数はどうか。死亡者数はテストの数に左右される感染者数と違って、誤魔化せないと言われる。しかし、ロベルト・コッホ研究所ははっきりと「ドイツの死亡者数は過大と言うよりは、寧ろ過少にカウントされている」と述べている。これは、死因を直接新型コロナにするか、新型コロナ関連の疾患にするか、などでかなりカウントにバラツキが出るからだ。

例えば先週の木曜日、ロベルト・コッホ研究所はハンブルクでの新型コロナの死者を14人としたが、ハンブルクの保健所は8人とした。この誤差は相当大きかったので、メディアに一部取り上げられた。これは、死者の多くが既に重度の疾患を抱えており、死因を新型コロナではなく、その疾患としたからだ。新型コロナが重症化するのは、既に疾患を抱えている人が多いとされており、このような例は他にもあると推測される。

また、最初は1%以下と言う異常に低かったドイツの死亡率も、ここに来て上がってきた。現在確認されている感染者数は103375名、死亡者は1810名、死亡率は1,75%となっている。

しかし、これは当然だろう。現在新たな感染者数の増加は2週間前から実施されている厳しい生活の制限によりそのテンポは抑えられている一方で、既に感染していた患者が死亡する、或いは回復してくる人は増える。どの程度になるか知らないが、無症状感染者が炙り出されない限り死亡率は今後もっと上がる。

私はここまでのところ、ドイツは国民に対し誠実に対応していると感じており、私自身はその対策に不満があるわけではない。しかし、現時点でこのような数字だけをみて国の新型コロナ対策を評価などできない。ましてや、ドイツが他国に比べて成功している、或いは失敗しているなどと既に言われているのであれば、個人的には抵抗がある。

ろくに検査や説明もしていないのに、数字が異常に他国に比べて少ない事で自画自賛している日本についても同様だ。今後どう転ぶかなど、まだ誰にもわからない。本当の試練はもしかしたら新型コロナ危機が過ぎてから来るのかもしれない。人間の歴史で、経済的に打ちのめされた国が何をしてきたか、忘れてはならない。

せめてもの救いは、ドイツに関して言えば、現段階でスペインやイタリアのような医療崩壊は起きていないように見える事だ。他には、積極的にテストを行い実態を把握しようとしている姿勢、新型コロナ感染に関する情報の透明性、対策決定の決断のスピードなどは、いち日本人ドイツ在住者として良い点だとは感じている。

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