益々厳しくなりつつある、ワクチン未接種者に対する規制

ワクチン接種の普及などもあり一旦は収束の兆しを見せ始めたコロナ禍であるが、昨年同様10月あたりから新規感染者が激増し、現在では10万人あたり新規感染は7日間平均で289人にまで上っている。これはロックダウン措置が採られた昨年のピーク時である219人と言う数値を遥かに上回るもので、今後も人の流れが増えるクリスマスに向けて増え続けるだろう。

私の済むバイエルン州では昨年の春先以来再び緊急事態宣言が発令されており、状況は深刻さを増している。コロナ政策決定の新たな基準になっている入院者数の数値も赤信号が出た。とは言え、重症者の数値自体は昨年のピーク時の半分程度であり、これはワクチンの効果である事は間違いない。

ワクチンを打ちさえすれば感染しない訳ではないが、軽度で済む確率は大幅に上がる。また、どんなに隠避しても、コロナを決して消滅させる事は出来ない。それが分かっていればもはや国民全体でのロックダウンは意味がない。できるだけ多くの人にワクチンを打ってもらうのが、通常の生活を取り戻す最も近い道にはなる。

そう言う訳で、政府が進めている政策は当然ながら、ワクチン未接種者に対する規制を厳しくし、接種に向かわせようというものである。

最近までは「3G」のルール、つまりGeimpft(ワクチン接種者)Genesen(回復者)Getestet(テストした者)が外出して他者と接触する条件だったのだが、最近は多くの場面でこれが「2G」つまりワクチン接種者と回復者のみに限定された。或いは「3Gプラス」これは接種者、回復者に加えて高額のPCRテストした者に他者との接触が許可されると言うものだ。

要するにワクチン接種をしていない者は殆ど何も出来ない状況に近づきつつある。オーストリアに至っては未接種者に対するロックダウンを既に決定した。ただ、さすがに大っぴらにこのような措置を取ると、独裁国家に近いやり方になる。

しかし、寧ろドイツのように未接種であっても外出を条件付き許容しながら、一方でネチネチ首を絞めて接種に向かわせる方がたちが悪いかもしれない。何故なら、未接種者に対する陰湿な差別や批判が社会に充満するからだ。現在ではもはや未接種者は無責任、反社会的であるという世論が完全に定着し、自分が未接種だと誰かに話したらトラブルになったなどと言う話も聞く。

有名人の例ではサッカードイツ代表、FCバイエルンのスター選手ヨシュア・キミッヒだろう。キミッヒは最近、自らがワクチンを接種していない事を公にし世間から痛烈な批判を浴びている。長期間にわたる副作用を懸念している事が理由だ。

本来ならば、接種するかしないかの選択は、本人の自由の筈だ。誰もがその決断を尊重して、批判するようなものではない。しかし現在のドイツでは余程親しい仲でもない限り、接種の話題は絶対に避けた方が良いだろう。もはや宗教や政治同様、かなり繊細なテーマになる。

また、私も含めた接種済みの者に関しては、近いうちにいわゆる「ブースター接種」と呼ばれる追加接種を受けることになるだろう。これはまだ決定していないが、時間の問題だ。基本的に接種済みの者も、コロナに感染する可能性はあるし、誰かに移す可能性もある。故に私は基本的に、接種済みでもセルフテストは実施した上で外出するようにしている。