ドイツで新型コロナの隠れ感染者はどの程度存在するのか

ドイツの現時点での感染者は91159人、データはジョンズ・ホプキンス大学のものである。ドイツのメディアの多くは国の監督下にあるロベルト・コッホ研究所ではなく、このアメリカの大学のデータを採用している。両者の数には誤差があるが、ジョンズ・ホプキンス大学が発表する数の方が多く、そして速いとされる。いずれにしても、感染者の数は今だ増加中だ。

とは言え、その増加のペースはここに来て明らかに緩やかになって来た。現在重視されているデータはドイツ語で言う”Verdoppelungszeit”、これは「感染者数が2倍に増加するのにかかった日数」である。要するにこれが長ければ長いほど、感染拡大のスピードが緩やかになっていると言う事になる。

この数値は最も低い(短い)ときで2日だったが、現在ではおよそ11日まで伸びた。ドイツが目標とする数値はひとまず14日と言われている。ここに到達すれば、医療現場で重傷者の治療に手が回らなくなる状態、いわゆる「医療崩壊」は避けられる見通しであり、同時に出口戦略を「テーマにできる」状態になる。

しかし、現在の厳しい生活制限を抜け出すために炙り出す必要があるのが、これまで確認されていない隠れ感染者がどの位存在するのかと言う点だ。言うまでもなく、新型コロナには無症状の感染者が大量に存在する。ドイツは週に50万人テストしていると言われるが、最初から疑いのある対象を全員をテスト出来ている訳ではない。かく言う私も断られた。

そして、この隠れ感染者は昨日のZDFのニュースによると、現在発表されている感染者数の5倍から10倍存在する可能性がある。ノルトライン・ヴェストファーレン州首相のアルミン・ラシェットは更に多く、7倍から10倍だと見積もっていた。

一方のロベルト・コッホ研究所は隠れ感染者は特別多くはないと述べていた。ドイツは早い段階で広範にわたりテストを始めたからと言う理由だ。とはいえ、ロベルト・コッホ研究所も長いこと国民への新型コロナ危険度を「低」にしていたので、私の中では事態を過小評価していた機関の一つである。

現在のところ、この隠れ感染者が実際にどの位存在かは誰も知る由もない。しかし、ミュンヘンはこの数をおよそ突き止めるため、明日から新型コロナ感染のランダムテストが実施される。具体的には、コンピュータがランダムに指定した3000世帯に訪問し、被験者から採血する。ミュンヘンの1世帯の人数は平均1,5人なので、最終的にはおよそ4500人がテストされる見込みである。

そして、これらの隠れ感染者の実態を把握して初めて、現在のストレスの溜まる生活からの出口が見えてくるだろう。ドイツで出されている原則として他者との接触を禁止するルールは、4月19日までに延長されている。