ドイツ銀行とコメルツ銀行の合併、協議の末に破談となる

ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行、それに続く2番目の規模を誇るコメルツ銀行、昨年の夏あたりからこの両者が合併するという噂が市場で強く渦巻くようになった。元々この噂はかなり前からあったのだが、ここ数年の両者の業績が思わしくないのに加え、ドイツ財務相であるオラフ・ショルツがこの両者が合併し、ドイツに国際的な競争力を持つ大型銀行の出現を望む旨の発言をした事で更にこの憶測が強まった。そして、今年の3月の中頃より遂に両者は本格的に合併の協議を開始し、いよいよ合併が間近に迫っている事を窺わせた。

しかし先週、このドイツ最大規模の合併協議は破談に終わった事が確認された。幾つか報道を読む限り、どちらかと言えばドイツ銀行がこの合併に難色を示した感がある。

社長のセーヴィングのコメントによると、コメルツ銀行と合併しても現状に勝る大きな付加価値を生み出せる見込みがないとの事だ。まあ、悪く言えば、ダメなもの同士が一緒になっても、結局ダメなままの可能性が高いと言う事だろう。問題のある銀行が単に余計に大きくなれば、問題もより大きくなる。

また、この合併は実現すれば、ドイツ歴史上最大の銀行合併となりそれに費やすエネルギーは膨大なものになる。更にこの合併によりおよそ30000もの職が失われると言われており、これは当然労働組合から大きな反対が出ていた。そう言う訳で、世間ではこの破談を歓迎する声は比較的大きく、ドイツ銀行の株価はこの決定の後上昇した。

とは言え、これで安心する理由などどこにもない。ドイツ銀行は過去4年で85億ユーロの赤字を計上し、その株価はおよそ7割も下落している。昨年より僅かに業績は回復している模様だが、総じて言えばドイツ銀行に対する厳しい見方は変わっていない。逆に今回の合併が破談に終わった事で、抜本的な改革を要求する声は更に強くなっている。

一方のコメルツ銀行であるが、その業績は今のところドイツ銀行より遥かに良好に見える。しかし、2008年にドレスナー銀行を買収し、ドイツNr.2の銀行になった割にはその規模の小ささが以前より問題視されていた。各部門で市場を支配する程の大きなシェアを生み出すことが困難な事に加え、デジタル化などで変革の迫る銀行業界において単独で投資し、長期的に十分な利益を出す事は難しいと見られており、以前より買収の噂が絶えなかった。社長のツィールケも当初ドイツ銀行との合併にかなり積極的だったとされている。

今回ドイツ銀行との合併が破断に終わったことで、株価は若干下がり市場は若干落胆したようにも見えるが、コメルツ銀行の場合、近い将来国外の大型銀行に買収されることが確実視されている。コメルツ銀行の時価総額は現在およそ90憶ユーロとされ、非常にお買い得とのことだ。現在最も有力な候補に挙がっているのが、イタリアのウニクレディトとオランダのINGグループである。

何れにせよ、昨年より世間を賑わせたドイツ銀行とコメルツ銀行合併の話はこれでひとまず終結した。しかし、多くの銀行がデジタル化の波で今後統合されていく流れは今後加速する事は間違いない。とりわけ、ドイツは多数の小規模金融機関が地方に散らばっている状況であり、今後銀行の数は劇的に減少すると予想されている。