11月より実施されている準ロックダウン措置により、新型コロナの新規感染者数は一旦横ばいにはなった。今月からは買い物時の店舗への人数制限などが導入され、更にその措置は厳しくなっている。にも関わらず、ここに来て新規感染者数は再び増加に転じて来ている。当然の事ながら後追いで重傷者数、死者数も増えており、まさに予断を許さない状況になって来た。
もはや一旦は決定されたクリスマスの一時緩和措置も覆され、来週からは春先同様の本格的なロックダウンが来るのは確実である。ワクチンが認可される直前、医療崩壊を防ぐ為のまさに最大の山場とも言えるかもしれない。
しかし、このような情勢故にハード・ロックダウンが来るのは当然なのだが、一方の経済状況はどうなのであろうか。ドイツはこれまで手厚い休業補償やその他企業への援助など、前例のない程の金額を国民に施した。これまで、コロナ禍で国民一人頭が失った金額は、平均すると実質月にたったの12ユーロである。つまり、あくまで平均だが、これまでは国民の懐事情には殆ど影響は無かった。
来年以降もロックダウン措置が継続されると噂される中、どこまで国からの補償が可能なのか、庶民にとっても気になる点であるし、気にするべきであろう。医療崩壊も怖いが、経済の崩壊も怖い。
そして、最近入ったニュースによると、DIWが発表した今年のドイツの経済成長率の予想はマイナス5,1%である。これは予想した程酷くはない。更に最高のシナリオでは来年の経済成長率はプラス5,3%となり、早くもコロナ前のレベルに回帰する。もっとも、最悪のシナリオで来年マイナス1,5%というのもあり得るとの事だ。今後どう転ぶかは、おそらくこの冬をどう越せるかにかかっている。
また、コロナ禍にも関わらず失業率も6%程度で思ったほど酷くはなく、11月に至っては0,1%減少した。これは国からの休業補償(短時間労働金)制度が効いているだろう。この制度で会社は従業員を解雇せず、労働時間を短縮する事で対応可能となった。個人的にも最も助かった国からの援助である。
更にドイツは7月以降、景気対策で付加価値税を減らしており、この効果に関してはどの程度あったか知らないが、ともかく今年の第三四半期の経済成長は8,5%と予想よりも強い回復を見せている。この減税措置は予定通り12月末に終了する。
総じて聞く限り、経済情勢はもちろん良くはないが、戦後最大の非常事態と呼ばれている状況の中ではそれ程悪く無いようにも聞こえる。もちろん、甚大な被害を被った個人事業者や企業もあるだろう。しかし、ワイヤーカードのような犯罪企業の化けの皮が剥がれ、今まで散々税金を誤魔化してきたブラック事業者が淘汰されているのは、いわば世直しの側面もある。悪いことばかりではない。
おそらく明日発表される本格的なロックダウンは、当然ながら今後も何らかの形で国民が援助されることが前提になる。それでも、今中途半端ダラダラ人を動かして感染者を増やすよりも、一気にシャットダウンした方が経済的にも長期的にはメリットがありそうな情勢だ。とにかく、今は医療崩壊を防ぐことが優先だろう。医療に関しては事態はかなり切迫している模様である。