時刻変更を伴う現行のサマータイム制度は、2021年で終了になる事が決定した

明日は3月最後の日曜日、つまり毎年恒例の冬時間からサマータイム(夏時間)への変更が実施される日である。時計の針が1時間進められるので、要するに1日23時間になる。たかだか1時間とはいえ一度体内時計が狂わされると完全に取り戻すのに数日かかる。サマータイムを楽しみにしている方々にとっては聞き苦しいかもしれないが、この時刻変更の不快度といったら私の中では歳を経るごとに年々増加しているといって良い。

そもそも、年に2度も自分の意思とは無関係に軽い時差ボケを強制される事から分かるとおり、既にこの制度は一般的にも健康を害する事が明らかになっている。また人間の集中力が散漫になり、野生動物もこの時刻変更に対応できない事から交通事故のリスクも高まる事が明らかになっており、大多数がこの制度の廃止を望んでいた。

そういう訳でEUは既に現行のサマータイム制度の廃止に動き出しており、当初はこの制度は今年が最後だという話だった。しかし、それでは余りにも制度変更に対応する時間が少ないという事で、2021年を最後に廃止する事で本決まりになったと言う運びである。少なくとも年に2度の時刻変更が廃止になるので非常にありがたい話ではある。

もっとも、EU内で年に2回の時刻変更が廃止されるといっても、次なる議論のテーマは当然、通年サマータイムにするか、冬時間にするかという事になる。これはEU各国がそれぞれ国単位で決定するのだが、国境線を超えるたびに時計の針を進めたり戻したりするような著しい不便は避けなければならないので、周辺国と歩調を合わせなければならない。現在のところは、やはり各国の意向はバラバラのようだ。

まず、ドイツがおそらくもっとも歩調を合わせるべき西の隣国フランスであるが、t-online.deによると国民のおよそ6割が通年サマータイムに賛成しているとされる。アンケートは今年の2月に行われた模様である。

一方の東の隣国の一つであるチェコは既に「さまざまな実務上、健康上の理由」から通年冬時間を導入する意向を明確にしている。

既に隣国と歩調を合わせている国々としてはリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国が挙げられる。夏時間か冬時間かははっきりとしていないが、リトアニアがサマータイムの採用に傾いている事を述べた。

更にt-online.deによるとオーストリア、ベルギー、スウェーデン、クロアチア、マルタではサマータイムの採用を望む国民が多いとされる。ポーランドも冬時間を採用した場合、夏のワルシャワでは既に3:15分に日の出になる為、サマータイムを採用するだろうとしている。

逆にチェコ同様、通年冬時間の採用が多数派の国はブルガリア、フィンランド、オランダが挙げられるそうだ。スペインやポルトガルも夏時間を採用した場合、冬の日の出が10時前にまでになるそうで、冬時間の採用が濃厚とされる。

そして肝心のドイツであるが、昨年の時点で経済相のアルトマイヤーは通年サマータイムが望ましいとの見解を示している。確かに経済面から言えば、早朝が長く明るいよりも夕方から夜にかけて明るい方が人は金を使うだろうから、アルトマイヤーには都合が良いかもしれない。しかし、肝心の国民はどうだろうか。

これは様々なメディアでアンケートが行われており、結果にバラツキがある。例えばZDFではサマータイムの採用が多数派だが、YouGovのアンケートでは全く逆の結果が出た。フランクフルター・アルゲマイネ紙オンライン版では真っ二つに割れており、51%が冬時間派、49%がサマータイム派だった。

しかし、仮に通年サマータイムを採用した場合、フランクフルトを例に挙げれば、最も日の短い12月22日の日の出は9時20分になる。つまり、朝のまだ暗い時間帯に人々は出社、或いは登校し、更に仕事或いは授業を行う事になる。これは交通事故の確率を上昇させるだけでなく、仕事や学習の質に悪影響があると言われている。言うまでもなく、人間が完全に目を覚まし活動モードに入るには太陽の光が必要だからだ。

他にもサマータイムと冬時間、それぞれにメリット、デメリットがあるが、詰まる所、冬時間=通常時間と言われる通り、現行のサマータイム制度が施行される前は皆冬時間で動いていた。総じて言えば通年冬時間に戻した方が好ましいのではないかと考えている。