昨日は待ちに待ったEURO2021ドイツの初戦、フランス戦がミュンヘンで行われ、ドイツはフンメルスのオウンゴールにより0-1で敗れた。
ドイツのスタメンは予想通り、ノイアー、ギンター、フンメルス、リューディガー、キミッヒ、ギュンドアン、クロース、ゴーセンス、ハーヴァーツ、ミュラー、ニャブリである。一方のフランスもエムバペ、グリーズマン、ベンゼマ、カンテ、ヴァランなどの錚々たる名前が連なる。
まず試合はドイツが慎重にボールをキープしながらフランスの隙を狙う。一方のフランスはまずは守備ブロックを固め、ボールを奪えば圧倒的な個人能力で素早くドイツのゴール前まで運んでくる展開である。ドイツは概ね試合をコントロールいる印象だが、やはりフランスは少ない攻撃機会でも、その圧倒的な個人能力を活かしてシュートまで持ってくる。
20分、フランスは右サイドの激しい攻防からポグバがペナルティエリアに走り込んだエルナンデスに見事なチップパスを送る。このダイレクトの折り返しがフンメルスの脚に当たりオウンゴールとなり、これが結局そのまま決勝点となった。
ドイツはボールキープ率で勝り、前半である程度フランスの選手を疲弊させ、フランスが得意とするオープンな展開を避ける事に概ね成功した。後半55分あたりからドイツが優勢に試合を進め始めたのはその所為だろう。しかし70分あたりからもドイツの選手に疲れが見え始めた。
ここでヨアヒム・レーヴはハーヴァーツとニャブリに代えてサネとヴェルナーをピッチに送り込んだが、これは私の目からみれば明らかな采配ミスだ。サネとヴェルナーを最大限に活かすにはある程度のスペースが必要だが、フランスは後方で守備を固めている。寧ろテクニックの高いハーヴァーツとニャブリを失った事でドイツは前線でボールキープが出来ず、逆に度々逆襲をくらう場面が増加した。
フランスはドイツに攻め込まれながらも殆どドイツに決定的なチャンスを許さなかった。やはりペナルティエリア内に強力なFWが座っていないという、積年の課題がここに来て顕在化したとも言える。但しこれはドイツ屈指のフィジカルを誇るゴレツカが中盤に復帰すればやや改善の芽があると踏んでいる。
ゴレツカはギュンドアン、クロースのようなパサーではないが、両者より守備力が高く、更にゴール前に飛び込め、ヘディングも強い。多少ボールキープ率が落ちても、ゴレツカが入ればチームのバランス的にも良いのではないか。
全体的に見れば、1-0というスコアながらフランスは2度のゴールをオフサイドで取り消され、更にはエムバペの決定的チャンスをフンメルスが危機一髪のタックルで防ぐと言う窮地もあった。ここで追加点が入らなかったのはドイツにとってラッキー以外の何者でもない。ドイツの完全な力負けだろう。
但しドイツが悪かったというより、あくまでもフランスが強かったという印象であり、内容がそこまで悪かったと訳ではない。大会期間中にチームが成長する事も大いにあり得るし、事実優勝するようなチームはそうだ。敗れはしたが、2018年W杯のような最悪の雰囲気ではないので、まだ期待する余地はあると言っておきたい。