ヨアヒム・レーヴ、EURO2021に臨むドイツ代表を発表する

本日注目されたEURO2021のドイツ代表メンバー発表が監督であるヨアヒム・レーヴから行われた。

ここで最も注目されていたのが、2019年よりレーヴによって代表の戦力外を通告されたMFトーマス・ミュラー、DFマッツ・フンメルス、DFジェロム・ボアテングが代表復帰が実現するかという点であるが、このうちミュラーとフンメルスが大方の予想通り復帰を果たした。

このうちミュラーに関してはFCバイエルン同様、ピッチ上でのリーダー的な役割が期待される。今季もブンデスリーガで11ゴール、21アシストと文句の付けようのない成績で、間違いなく復帰早々スタメンに割って入ってくる。中盤から前線はこれで完全なFCバイエルン・ブロックになる故、レーヴは殆ど何も手をつける必要など無い。三顧の礼で戻って来たミュラーは攻撃陣の全権を握る影の監督と言っても過言ではないだろう。

更にフンメルスに関してもスタメン入りのチャンスは十分にある。おそらく、センターバックのひとりはFCチェルシーのアントニオ・リューディガーで決定だろう。予測が難しいのは4バックにした場合誰がパートナーになるかだ。ここはギンターかズューレか、このフンメルスだ。この場合、何れも決定打に欠けるのでレーヴは直前の合宿やテストマッチで決めるのではないか。

但し仮に3バックを採用するなら、中央はおそらくフンメルスではないか。ヘディングの強さとポジショニングの巧さ、更にはビルドアップ能力を加味すれば、私的にはフンメルス一択だ。両脇に俊足かつ屈強なストッパーを従えればフンメルスの能力が最大限に活かされる筈だ。

一方で個人的に残念だったのが、このところ絶好調のマルコ・ロイスが代表を辞退した事だ。私はロイスを2012年以降ドイツ最強のアタッカーのひとりとして非常に高く評価しており、事実レーヴもおよそ1年半ぶりに招集する意向だった模様である。しかしレーヴに言わせれば、ロイスは非常に繊細な選手である故、事前にコンディションを確認する必要があるとして本人と直接話し合った結果、ロイスの方から休養に充てたいとの要望があった模様である。

年齢から言って、これで今後ロイスが代表に呼ばれる事はないだろう。あれ程の高い能力を擁しながら度重なる負傷などもあり、代表の桧舞台で活躍する機会が少なかった事は本当に惜しまれる。

その他は概ね予想通りのメンバーとなったが、若干ながらサプライズもあった。最大の驚きだったのが、SCフライブルクで代表1キャップの左SBのクリスティアン・ギュンターを招集した事だろう。ゴーセンス、ハルステンベルクに続きこのポジションだけで3人の選手を選んだ事になるが、それだけこの左SBが人材難という事を現している。場合によってはいきなりスタメンもあるかもしれない。

また、長らく代表を離れていたFWケヴィン・フォランドが復帰した。もっともフォランドは今季移籍したモナコで16得点を上げる活躍を見せており、成績から言えば驚きには値しない。レーヴはFWの得点能力を軽視した事でこれまで数々の失敗を犯して来た。ヴェルナーに続く数少ない生粋のFWとして、得点が必要な試合終盤で起用される可能性は十分にある。

これまでヨアヒム・レーヴは自らのお気に入りの選手を代表に呼び続け、一度干した選手は頑として呼ばない傾向があった。しかし、今回はドラクスラー、ブラント、ターといったお馴染みのメンバーを切り、シーズンで活躍した選手を順当に呼んだと言える。レーヴ自身も今回のEUROを最後に退任する事が決定しており、心境の変化があったのかもしれない。

ドイツ代表は6月2日にデンマーク、6月7日にラトビアとのテストマッチを行い、15日にミュンヘンでフランスを迎え撃つ。前回のロシアW杯では準備段階からグダグダで歴史的な惨敗を喫しただけに、今回はテストマッチから緊張感のある試合が望まれる。