ドイツ政府と州、2月14日までシャットダウン措置を強化する

昨年のクリスマス前に新規感染者は急激に増加した為、ドイツ政府と州は強力なシャットダウン措置を断行し、これは当初の1月10日の予定を過ぎた現在も続いている。とは言え一部の外出禁止や学校、保育所を閉めた効果もあってか、一時は7日間平均25000人/日に達した新規感染者数も15000人程度に減ってきた。陽性率も18%から10%程度へ、実行再生産数「R」も0,86にまで下がった。

しかし、現在社会を不安に陥れているのが例のイギリスで発見されたウィルス変異種である。知っての通り、このタイプは従来のウィルスより30〜70%感染力が強いとされ、更に致死性も高い可能性がある事が言及されている。事実、イギリスは死亡率が世界で最も高くなっており、この変異種は当然ドイツでも既に感染が確認されている。

そう言う訳で、先週ドイツ政府と州は更なるシャットダウン措置の強化に踏み切る事を決定した。その中で焦点となったものを紹介する。例によって最終的な決定権はそれぞれの州政府にあるので、地域によってルールに若干の差異が出る。

まずは公共交通機関、小売店では布製のマスクではなく、OPマスクと呼ばれる医療用のマスク装着しなければならない。ここで焦点となったのが、既にバイエルン州がFFP2マスクの義務化に踏み切った事で、ドイツ全土にFFP2マスクが義務化される流れになるかと思われていた点である。確かにFFP2マスクなら他人を守るだけでなく、自らも守る事に効果がある事は証明されている。

しかし、政策を助言するロベルト・コッホ研究所は個人がFFP2マスクを利用する事を推奨していない。何故なら、呼吸の際の空気抵抗が強くなる上に、多くの人は正しく利用する事が難しいからだ。更にFFP2マスクは高額で、粗悪品が出回り店舗では売り切れ、ネットでの注文もドタキャンが続出した。品薄の為今後価格は更に高騰すると見られており、バイエルンのみならずドイツ全土で義務化されれば、それこそパニックは間違いない。

そのような理由もあってか、ドイツ全土では安価で手に入り易いOPマスクの着用が義務化されるに留まった。とはいえ、バイエルンでは引き続きFFP2マスクが義務になり、来週からは罰金がある。私は幸運にも今週手に入ったので何とか買い物に行けるが、未だ持っていない人も多いと聞く。さすがに今回はバイエルン州首相ゼーダーも性急に過ぎただろう。

更に今回最大の焦点となったのが、学校と保育所を再び開くかと言う点である。これはドイツ政府とそれぞれの州の間で相当意見が割れたようだが、最終的には引き続き閉めたままにするとの決定が下された。しかし、この決定の直後から一部の州は早めに学校、保育所を開く方針を表明するなど、この点に関しては地域独自路線が強くなる。

個人的には、この学校と保育所の閉鎖はコロナ拡散を防ぐのにもっとも有効だと思われるが、同時に最も社会に負担のかかる措置でもある。故におそらく、状況が改善したならば真っ先に学校と保育所が開く事になる。しかし、この先どう転んで行くか誰も知る由も無く、下手をすれば4月まで閉鎖などと言う話もある。止むを得ないとはいえ、これ以上子供を家に閉じこめておくなど、もはや限界というのが、多くの人の本音でもあるだろう。

最後に挙げておくのがホームオフィスの促進である。隣国のフランスやスイス、ベルギーなどは既にホームオフィスが半ば強制的になっているそうだが、ドイツでは4月のロックダウンで27%に上ったホームオフィスの割合は11月には14%に下がっており、浸透度は下がっている。常識的に考えれば従業員が自宅で仕事する事は雇用者側にとって喜ばしくないのは明らかで、その決定権もこれまでは雇用者側にあった。

しかし、新たなルールでは、特別な理由がない限り、雇用者側は従業員に自宅での仕事を提供しなければならない。そしてそれを受け入れるかどうかの決定権は従業員に委ねられる。これはまだ正式に法律化されていないが、来週には正式に認められ3月の半ばまで有効になる予定である。

マンハイム大学の研究によるとホームオフィスの割合が1%増えるだけで、感染率を最大8%減少させる事が可能とされる。更にホームオフィスは他のコロナ対策に比べて比較的簡単に実施可能なので、感染拡大抑制の効果はありそうだ。もっとも、以前紹介した事があるが、ドイツのネット環境はヨーロッパ最悪レベルである事は付け加えておきたい。