金曜日にブンデスリーガの後半戦初戦、FCバイエルンvsボルシアMGが行われ、久しぶりにサッカー中継を観戦したので感想を記しておきたい。今季新監督ナーゲルスマンを迎えたFCバイエルンは2位のドルトムントに勝ち点9差をつけて前半戦首位で折り返しており、例によって余裕のぶっちぎり優勝が濃厚な情勢である。
しかし、この後半戦開幕直前にいきなり9人の主力選手がコロナに観戦してしまうアクシデントに見舞われ、かなりの弱体化を余儀なくされた。キミッヒが右サイドバックに入り、本来攻撃的な選手であるザビッツァーを左サイドバックに起用する苦肉の布陣である。
試合が始まるとFCバイエルンはいきなり試合の主導権を握りボルシアMGのゴールに迫る。ボールを奪われれば素早い寄せで再びボールを奪い返し、息つく暇もなく攻め込む。右サイドからはキミッヒがタイミング良く守備陣の裏へボールを出し、ボルシアMGはほぼ自陣に貼り付け状態となった。
そして18分、バイタルエリアで中央でボールを受けたレヴァンドフスキは得意のターンで相手DFを振り切り右足でゴールニアサイドに弾丸シュートを叩き込みバイエルンが先制する。33歳になるが相変わらずの化け物を見せつけた。やはりバイエルンの余裕の勝利かと思われた。
しかし27分、ボルシアMGはこの試合初めて右サイド、相手陣内深くまでボールを運ぶ事に成功した。この平凡なクロスをバイエルン守備陣はクリアし損ね、最後はこぼれ球をノイハウスがドフリーで決めて予想外の同点に追いついた。これで息を吹き返したボルシアMGは更に4分後にコーナーキックからヘディングを決めて勝ち越しに成功する。
これでバイエルンは焦りまくったのか中盤でボールロストを繰り返すようになり、あわや3点目の決定的ピンチまで迎える。前半はこのまま1-2で終了した。
後半になるとバイエルンはキミッヒが中央にポジションを移し攻撃に転じるが詰めが甘く同点に追いつけない。ベンチにも選手を欠いており、最後は16歳と17歳の若手を投入して反撃を試みたが、そのまま敗れることとなった。
試合内容に関して言えばバイエルンはボルシアMGを凌駕していたが、失点時のお粗末な守備が高くついた。特に同点を許した失点にはナーゲルスマンもおかんむりで、「絶対に与えてはならないゴール」と述べ、更に相手の「信じられない程酷いクロス」を適当なヒールキック気味にクリアしようとして失敗したズューレは、名指しこそ無かったが批判は免れないだろう。
私は実は初めてナーゲルスマン体制のバイエルンの試合を見たが、これまでのポゼッションを基調としながらも、長めのパスなども駆使した縦への速い攻撃は見事で、相変わらずサッカー自体の質は高い印象を受けた。この日の布陣の上で最大の誤算は左サイドバックに本来攻撃的MFのサビッツァーを起用せざるを得なかった点だろう。ボルシアMG攻撃の殆どはこの穴を付いたものだ。
ところで、この試合で私が最も驚かされたのは、33歳にして化け物級のフィジカル、得点力を維持しているレヴァンドフスキである。この怪物FWの代わりは多分、世界中の何処を探しても居ない。逆に言えば、この怪物FWが欠けた時、FCバイエルンは本当の危機を迎えるのではないか。